「んじゃ、お疲れ」
「お疲れ〜」

礼央くんおすすめの焼き鳥屋さんに来て、カウンター席に座り生ビールで乾杯する。
やっぱり仕事のあとのビールは最高だ。

「仕事どう?楽しい?」
「んー、やっと楽しくなってきたところかな」
「俺も。営業向いてたみたいで、けっこう優秀なんだよ」
「自分で言うー?」
「でも俺の性格上そうだろ?」
「胡散臭いくらいおしゃべり上手だもんね」
「なんだそれ」

わたしの言葉に礼央くんがケタケタと声を出して笑う。
社会人3年目。
最初は必死に目の前のことをしていくだけだった仕事も、やっと慣れて自分で対応できるくらいになってきた。
やりがいなんかも感じられるほど、余裕もある。

「この前、高校のやつらに会ってすげー懐かしくなったんだよな」
「いつもいたメンバー?」
「そうそう。まさかのまーぼーがいちばんに結婚してもう父親やってんの」
「まーぼーって前田くんだよね?ふくよかで仏みたいな優しい顔してた」
「あれはデブな。でもいまは痩せて超イケメン。イケメンパパやってんの。俺らの中で実はいちばん顔が良かったんだよ」
「そうなんだ?性格もおっとりしてたし、絶対にいいお父さんだね」
「それな。子どもの写真も見せてもらったけどめっちゃかわいかった」
「いいなぁ」
「そういえば、バタセンにもバッタリ店で会ったけど髪の毛あのまんま」
「え、変わってないの!?」
「あの薄毛キープってある意味すごいよな」

お酒が回っているかるか、饒舌にしゃべる礼央くん。
すごく楽しそうだな。テンションが高い。
それは、高校の時の友達と会えたことが嬉しかったから?
それとも、いまわたしと一緒にいるから?
なんて……全部、お酒のせいだよね?