「え、もしかして……花耶?」
「……礼央くん?」
夜が深まる闇と人工の明かりが入り混じる駅前で、懐かしい声と面影を残した大人の顔。
「そうそう。久しぶり」
「ほんと、久しぶりだね……」
「まさかこんな偶然会うとはね」
「そうだね」
「なに?元気ない?」
「いや、びっくりしすぎて頭働かないっていうか……」
「はは、相変わらずだな」
スーツ姿の礼央くんは、昔と変わらない顔で笑う。
その顔を見て、胸がぎゅっとなる。
「いま帰り?」
「そうだよ」
「じゃあ、これから飲みに行かない?」
「え?」
「せっかく会えたんだし、久しぶりに花耶とたくさん話したい」
「えっと……」
「だめ?用事あった?」
「……ううん、大丈夫。飲みに行こっか」
「やった。ここの近くでおいしい焼き鳥屋さんあるから行こ」
無邪気な笑顔の礼央くんに頷いて、7年ぶりに彼の隣を歩く。
制服は着崩してたのにスーツはしっかり着ちゃって、髪色も派手だったのにすっかり落ち着いちゃって。
まるで別人みたいに、スマートになっている。