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「そろそろ帰ろうか」
「そうだね。人生最良の日に新婦が寝不足で目の下に隈を作っていたり顔がパンパンに浮腫んでいたら目も当てられないしね」
志乃と由香が立ち上がる。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
二人は明日の朝から美容院の予約があるらしい。
『花嫁には劣るけど、ドレスも買ったしバッチリ決めていくからね!』なんて笑いながら言っていた。
二人とも美人だから今から楽しみだ。
かくいう私も花嫁な訳で、いろいろな準備がある。
寝不足なんてもってのほか。
ブライダルエスにも通ったし、結婚式準備の合間に自分磨きも続けてきた。
しっかり睡眠はとっておきたいし、綺麗な姿でウェディングドレスを身にまといたい。
それは誰でもない、涼介さんに綺麗だと言ってもらいたいからだ。
食事代は二人が結婚祝いだと言って奢ってくれ、店を出た。
「私と由香はタクシーで帰るけど、澄香も一緒に乗る?」
「ううん。私は涼介さんと合流することになっているから」
「そっか。じゃあ、また明日だね」
「うん」
「明日は絶対に澄香を泣かせるスピーチするからね」
「えー、泣かすのはやめてよ」
由香が自信ありげに言い、どんなスピーチをしてくれるのか楽しみなようで心配になった。
「由香、スピーチしてる私らの方が先に泣きそうじゃない?」
「言えてる。メイクが崩れてパンダにだけはならないようにしよう」
「ホントそれ。あ、じゃあまた明日ね」
「うん、おやすみ」
タクシーに乗り込んだ志乃と由香に手を振り、私は二人を見送った。


