「「あっ」」
同時だった。
出た、声が。
私と相手、二人の。
そして。
伸ばす、手を。
それも。
ほぼ同じタイミング。
伸ばしている手の先。
それは。
私が買おうとしているマンガ。
私と相手。
触れる、指先が。
その距離まで。
数ミリほど。
そのことに。
驚いた、少しだけ。
その反動で。
見る、チラッと。
相手の顔を。
そうしたら。
見ていた、すでに。
相手の人は。
私の顔を。
その表情は。
とても穏やかで。
「君も同じマンガだね、
偶然だぁ」
相手の人はそう言い。
する、ニコッと。
その笑顔が。
あまりにも美しくて。
眩しい、ものすごく。