大学を出て証券会社に就職して2年、都会に馴染めず仕事を辞めて田舎の実家へ帰ってきた安田真綾(やすだまあや)は職安に通いながら失業保険の終了期間まで遊ぼうと実家でゴロゴロしていた。

「真綾、手伝ってくれよ」

夕食の時に父から言われた。

「やだよ、働いたら申告しなくちゃいけないのに〜」

「じゃあ無償で」

「いくらなんでもそれはないでしょ」

「お小遣い」

「駄目だよ、多分」

「じゃあうちで正社員でどうだ?」

「うーん…」

真綾は悩んでいた。

そりゃ都会でもらっていた給料よりは貰えるとは思ってないけどさー

お父さんの言うこともわかるよ、働き方改革で人手がいるのもさ…


安田運送は地元ではそこそこ走っているトラックはよく見かけるが、大手運送会社の下請けだ。

話を聞くと事務の女の子が経理の人とデキ婚をするらしくて産休に入りたいと、そして男性の方も育休を取りたいと行っているそうで、会社としては募集はかけているが中々来ないらしい。

真綾なら両方できるだろとお父さんは言うけど流石に無理だよと真綾は言った。

「その前にさ、私、免許持ってないよ?仕事場までいけないじゃん」

「今から取るか」

「そのお金は?あと車」

お父さんはしばらく考えていたがお父さんが出すと渋々言った。

「じゃあ、いいよ(笑)」