カスハラ……カスタマーハラスメントというものがあります。
 理不尽なクレーム、暴言など。
 人と接するお仕事をされている方は、とても大変だと思います。

 しかし、逆に店員さんから感じ悪くされたり、横柄な態度を取られると。
 とても怖いですし、軽く傷つきます。

 僕はよくコンビニで、ホットストナックを注文します。
 どれも安価で、出来たてを美味しく食べられますからね。

 昔から、鶏のから揚げが大好物でして。
 コンビニに限らず、色んな店で見かけたら、注文したり購入しては、味比べするのが大好きです。
 
 早朝に妻と二人でコンビニへ行き、買い物をしていたのですが。
 レジにいた店員さんは、夜勤明けで疲れていたのかもしれません。

 いつも通り、ホットストナックのコーナーへ向かうと。
 少し不機嫌そうな、女性の店員さんが立っていました。
 
 僕と妻が一生懸命、商品を選んでいたのですが。
 商品の前に、品名や値札がなにもついていません。
 これに僕と妻は困惑しました。

 から揚げと言っても、最近は色んな味があります。
 辛いものから、レモン味やペッパー味とか、たまにはチーズなんて。
 ですので、気になった僕は、先ほどの女性店員さんへ尋ねることにしました。

「あ、あの……すみません。このから揚げなんですけど、何のから揚げですか?」

 と質問したところ、女性店員さんは不機嫌そうにこう答えました。

「はあっ!? それ? からあげっ! ただのからあげ!!」

 その大きな声に僕は、恐怖から縮みあがってしまいました。

 どこか僕に落ち度があったのではないか? としばらく考えてみます。

(質問の仕方が悪かったのかな……? いや、特に悪いところは……)

 この時、僕は思った。

(はっ!? さっき店員さんが言ったことに意味があるんだ!)

(ただのからあげ……無料(ただ)のからあげってことなんだ!)

 その意味を知った僕は、店のカウンターへと入り込み、ホットストックコーナーの商品を手に取る。
 棚に並んでいたからあげを全て、マイバッグへぶち込んで、店から立ち去ろうとしたその瞬間。
 先ほどの女性店員さんが、声を荒げる。

「ちょっと! なにをやっているの!? 会計が済んでないでしょ?」
「え? だって、『ただのからあげ』って言ったじゃないですか」
「はぁ? 一体何を言って……」
「無料のから揚げとは、素晴らしいサービスですね!」
「……」

 この10分後、店にパトカーが到着した。