フェチズム……人間ならば、誰しも一つは持っているでしょう。
 
 僕はたくさんありすぎて、ここには全て書けませんが。
 一つだけなら、言えます。
 それは、”お尻”です……。

 突然の性癖暴露になりましたが。
 僕がスーパーへ買い物に行った時のことです。

 お酒が欲しかったので、酒コーナーを物色していると。
 近くで商品出しをしている、店員さんが見えました。

 床に正座してダンボール箱から、お酒を出して棚に入れています。
 人間、どうしても正座で座れば、ヒップラインが強調されます。
 この店員さんも長ズボンを履いてるとは言え、プリっとしたお尻が突き出ているように感じました。
 
 しかし、その店員さんのお尻がすごく良い形でして、思わず見入ってしまうほどでした。

 僕としては、別にその方のお尻を見たくて、見たわけじゃありません。
 視線を変えたら、たまたまそこにあったため、気まずくなりました。
 すぐに視線を変えようとしたその時でした。

「ふぅ……」

 店員さんがため息をつきました。
 気になった僕は、視線をお尻からゆっくり顔へ上げていきます。

「!?」

 その顔を見て、僕は驚愕しました。
 魅力的なセクシーヒップの持ち主は……男性だったからです。
 頭の薄いおじさまでした。

 しかし、お尻フェチの僕が、唸るほどのヒップでした。
 『良いものはいい』……母が教えてくれたことです。

 この瞬間、僕は思った。

(よし、ちゃんとこの人へ自分の気持ちを伝えよう)

 そう感じた僕は、そのおじさまに声をかけることにしました。
 
「あ、あのすみません。ちょっといいですか?」
「はい? なんでしょう?」
「男の僕が言うのも、なんですが……めっちゃスケベな尻をお持ちですね!」
「え……」
「ヒップ大会があれば、男性部門で優勝できると思いますよ!?」
「……」

 結果、僕は通報された。