雪の降らない冬の夜空には、夏に上がる花火のような綺麗な月が枯れずにそこにあった。
駅までの道はずっと長くぎゅっと短いと思った。
まだ君と一緒にいたい、まだ君を行かせたくない。その口実を僕はずっと探していた。
「じゃあ、ここで。またね」
改札前で振り返り小さく手をふり、そう言った白雪を僕は追いかけることが出来なかった。
今伝えなきゃ一生後悔する。手を丸めて拳に手汗がにじみ、ぶるぶると震える出す。
「早くしろ」と自分を鼓舞する。
「あ!あのさ!」
白雪は脚を止めて不思議そうな顔で僕を見つめる。
「去年白雪の見れなかった花火大会、さ。一緒に見ようってあの約束覚えてる?まあ覚えてなくてもいいんだけど。でも、お互い夢を叶えれたら、一緒に見よう」
「覚えてて、くれたんだ」
「え」
その一瞬、何が起きたのか分からなかった。唇が、両頬が、心が、冬なのに温かくなった。
白雪の顔が近くにあった。
「花火、一緒に見ようね」
「うん……うん!絶対な、絶対だからな!」
そして白雪はこの街からいなくなった。
※ ※ ※
駅までの道はずっと長くぎゅっと短いと思った。
まだ君と一緒にいたい、まだ君を行かせたくない。その口実を僕はずっと探していた。
「じゃあ、ここで。またね」
改札前で振り返り小さく手をふり、そう言った白雪を僕は追いかけることが出来なかった。
今伝えなきゃ一生後悔する。手を丸めて拳に手汗がにじみ、ぶるぶると震える出す。
「早くしろ」と自分を鼓舞する。
「あ!あのさ!」
白雪は脚を止めて不思議そうな顔で僕を見つめる。
「去年白雪の見れなかった花火大会、さ。一緒に見ようってあの約束覚えてる?まあ覚えてなくてもいいんだけど。でも、お互い夢を叶えれたら、一緒に見よう」
「覚えてて、くれたんだ」
「え」
その一瞬、何が起きたのか分からなかった。唇が、両頬が、心が、冬なのに温かくなった。
白雪の顔が近くにあった。
「花火、一緒に見ようね」
「うん……うん!絶対な、絶対だからな!」
そして白雪はこの街からいなくなった。
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