「ミシェル殿……おたくんとこのリーダー、思いっきりやらかしてくれてるんでござるが。これどう落とし前つけるんでござる?」
鮮やかなまでに人の隠し事を暴露してくれやがった元仲間、元調査戦隊のリューゼリア。
レオンくん達だけだから良かったもののと頭を抱える僕を心配してか、サクラさんがミシェルさんに抗議した。
静かながら割と本気の声音だ、怒りを感じる……いや、その、そこまで本気でキレられるとこっちとしてもちょっと怖いというか。逆に僕が冷静になっちゃうっていうか。
ましてミシェルさんは直接関係のない立場だし、格上もいいところなSランクに睨まれて冷や汗を流しながら、引きつった顔で何度も頭を下げているよー。
これはこれでいたたまれないー。
「も、申しわけありません……リーダー! やりすぎです、彼には彼の事情があるんですよ!?」
「ン……いや、でもよぉ。勿体ねぇしよ、こいつがコソコソ身を隠してるなんざ」
「でももかかしもありません! 理由があるから隠しているのではないですか! それを無理に暴き立てるなんて、人として恥ずかしいことではないのですか!? それでも一団を率いるリーダーなのですか!?」
お、おおーう。ミシェルさん大激怒だよ、怖いよー。
サクラさんや僕の手前、怒らないってわけにもいかないからあえて過剰にキレて見せているところはあるんだろうけど、必死さがすごくて普通に圧倒されちゃう。
怯えてヤミくんとヒカリちゃんが僕に抱きついてきたよ、よしよし怖くないよ、僕が守るよー。父性が湧くよー。
双子を守るように庇っていると、ミシェルさんの剣幕にリューゼもタジタジだ。
さすがに身内に本気でキレられると慌てるみたいだね。慌てて僕に向け、誤魔化すような笑みとともに頭を下げてきたよー。
「わ、悪かった! わーるかったよソウマァ、勘弁してくれ!」
「まったくガサツな……人の気持ちを考えろってそれ、レイアにもウェルドナーさんはじめ調査戦隊のみんなからいつも言われてたろー!? なんで直ってないんだよー!?」
「苦手なんだよそーいうの……大体隠す理由なんてねェだろ。調査戦隊最強の冒険者がまるで犯罪者みてーに身を隠してるなんざ、オレからしちゃ意味不明すぎて腹立つんだが」
む……思わぬ反論にちょっぴり言葉が詰まる。
リューゼの立場からしてみれば、たしかに僕がここまで徹底して正体を隠しているのは理解不能だろう。まさか"杭打ち"としてでなく僕を見てくれる運命の初恋の人と巡り合いたいからーなんて言っても信じないだろうし、ねー。
まあ、あとは正体バレして学校とかで面倒事に巻き込まれるのは嫌だからってのもあるしー。
目下のところ一番の問題児だったオーランドくんは他国に行っちゃったからアレだけど、どうせ二学期になったら戻ってきてまた、ハーレム野郎になるんだろうしねー。
その辺の複雑極まる事情を逐一、説明するのも大変だ。
僕はいろんな箇所を省いてまとめて簡略化して、端的にリューゼに伝えることにした。
「……今の僕は学校に通ってる。身バレすると後が面倒になるから、それで姿と名前を隠して冒険者"杭打ち"をやってるんだよ」
「あー、モニカの手引だっけか? テメェが学生ねえ、なんの道楽なんだか知らねえが、楽しいかよ?」
「結構楽しいよ、友達もいるし……リューゼは僕くらいの年の頃、学校行ったりはしてなかったの?」
「行ってたが、だいたい喧嘩ばっかしてたからそれ以外の記憶はねぇなぁ」
「えぇ……?」
なんだよそれ、野蛮すぎるよー。チンピラか何かかなー?
完全に不良学生だよ、それも学校を裏で統べてるタイプのやつ。
そんな頃から泣く子も黙らせる"戦慄の冒険令嬢"だったらしいリューゼリアに、僕もミシェルさんも煌めけよ光の面々もドン引きの視線を禁じえない。
唯一サクラさんくらいかな? へぇやるじゃん、くらいに感心してそうなのは。ヒノモトはこれだからズレてるんだよいろいろー。
お互い大変だねー、とミシェルさんを一瞥してから、仕方ないと僕はレオンくんへと言った。
知られちゃったものは仕方ないんだし、せめて広まらないようにお願いだけはしとかないとねー。
「レオンくん達、そういうわけだから……悪いんだけどこのことは誰にも言わないでもらえると、嬉しい」
「あ、ああ! もちろん誰にも言わない! 冒険者として、いや人としてそれは誓うぜ! なあみんな!」
「言えるわけないじゃないこんなこと……言ったらそれこそあとが怖いし……」
「ぴぃぃぃ……わ、忘れたいでしゅぅぅぅ」
まっすぐで熱血で、そしてやはり善人チックに頷いてくれるレオンくんはともかく、ノノさんやマナちゃんのビビり方がエグいよー。
別に広まったとて、二人をどうにかする気はそんなにないのにー。まあ、ビビってるくらいのほうがこういう場合、いいのかもねー。
「あ、あの……! 知ってる人だけのところなら、ぼ、僕もその、言っても良い?! そ、そ……ソウマさん、って」
「……ま、まあそのくらいは。ヤミくんにヒカリちゃんは言いふらしたりしないって信じてるから」
「! う、うん! 絶対に言いふらしたりしないよ、僕と、あいや僕達とソウマさんとの秘密だよ!」
「ふふ、そうねヤミ。私達だけの秘密ねー」
ヤミくん、ヒカリちゃんが興奮からか顔を赤らめて尋ねてくる。
こちらに関しては何でもオーケーだよー、かわいいよー。双子にはついつい甘くなっちゃう僕だよ、なんかパパになった気分になるからねー。
鮮やかなまでに人の隠し事を暴露してくれやがった元仲間、元調査戦隊のリューゼリア。
レオンくん達だけだから良かったもののと頭を抱える僕を心配してか、サクラさんがミシェルさんに抗議した。
静かながら割と本気の声音だ、怒りを感じる……いや、その、そこまで本気でキレられるとこっちとしてもちょっと怖いというか。逆に僕が冷静になっちゃうっていうか。
ましてミシェルさんは直接関係のない立場だし、格上もいいところなSランクに睨まれて冷や汗を流しながら、引きつった顔で何度も頭を下げているよー。
これはこれでいたたまれないー。
「も、申しわけありません……リーダー! やりすぎです、彼には彼の事情があるんですよ!?」
「ン……いや、でもよぉ。勿体ねぇしよ、こいつがコソコソ身を隠してるなんざ」
「でももかかしもありません! 理由があるから隠しているのではないですか! それを無理に暴き立てるなんて、人として恥ずかしいことではないのですか!? それでも一団を率いるリーダーなのですか!?」
お、おおーう。ミシェルさん大激怒だよ、怖いよー。
サクラさんや僕の手前、怒らないってわけにもいかないからあえて過剰にキレて見せているところはあるんだろうけど、必死さがすごくて普通に圧倒されちゃう。
怯えてヤミくんとヒカリちゃんが僕に抱きついてきたよ、よしよし怖くないよ、僕が守るよー。父性が湧くよー。
双子を守るように庇っていると、ミシェルさんの剣幕にリューゼもタジタジだ。
さすがに身内に本気でキレられると慌てるみたいだね。慌てて僕に向け、誤魔化すような笑みとともに頭を下げてきたよー。
「わ、悪かった! わーるかったよソウマァ、勘弁してくれ!」
「まったくガサツな……人の気持ちを考えろってそれ、レイアにもウェルドナーさんはじめ調査戦隊のみんなからいつも言われてたろー!? なんで直ってないんだよー!?」
「苦手なんだよそーいうの……大体隠す理由なんてねェだろ。調査戦隊最強の冒険者がまるで犯罪者みてーに身を隠してるなんざ、オレからしちゃ意味不明すぎて腹立つんだが」
む……思わぬ反論にちょっぴり言葉が詰まる。
リューゼの立場からしてみれば、たしかに僕がここまで徹底して正体を隠しているのは理解不能だろう。まさか"杭打ち"としてでなく僕を見てくれる運命の初恋の人と巡り合いたいからーなんて言っても信じないだろうし、ねー。
まあ、あとは正体バレして学校とかで面倒事に巻き込まれるのは嫌だからってのもあるしー。
目下のところ一番の問題児だったオーランドくんは他国に行っちゃったからアレだけど、どうせ二学期になったら戻ってきてまた、ハーレム野郎になるんだろうしねー。
その辺の複雑極まる事情を逐一、説明するのも大変だ。
僕はいろんな箇所を省いてまとめて簡略化して、端的にリューゼに伝えることにした。
「……今の僕は学校に通ってる。身バレすると後が面倒になるから、それで姿と名前を隠して冒険者"杭打ち"をやってるんだよ」
「あー、モニカの手引だっけか? テメェが学生ねえ、なんの道楽なんだか知らねえが、楽しいかよ?」
「結構楽しいよ、友達もいるし……リューゼは僕くらいの年の頃、学校行ったりはしてなかったの?」
「行ってたが、だいたい喧嘩ばっかしてたからそれ以外の記憶はねぇなぁ」
「えぇ……?」
なんだよそれ、野蛮すぎるよー。チンピラか何かかなー?
完全に不良学生だよ、それも学校を裏で統べてるタイプのやつ。
そんな頃から泣く子も黙らせる"戦慄の冒険令嬢"だったらしいリューゼリアに、僕もミシェルさんも煌めけよ光の面々もドン引きの視線を禁じえない。
唯一サクラさんくらいかな? へぇやるじゃん、くらいに感心してそうなのは。ヒノモトはこれだからズレてるんだよいろいろー。
お互い大変だねー、とミシェルさんを一瞥してから、仕方ないと僕はレオンくんへと言った。
知られちゃったものは仕方ないんだし、せめて広まらないようにお願いだけはしとかないとねー。
「レオンくん達、そういうわけだから……悪いんだけどこのことは誰にも言わないでもらえると、嬉しい」
「あ、ああ! もちろん誰にも言わない! 冒険者として、いや人としてそれは誓うぜ! なあみんな!」
「言えるわけないじゃないこんなこと……言ったらそれこそあとが怖いし……」
「ぴぃぃぃ……わ、忘れたいでしゅぅぅぅ」
まっすぐで熱血で、そしてやはり善人チックに頷いてくれるレオンくんはともかく、ノノさんやマナちゃんのビビり方がエグいよー。
別に広まったとて、二人をどうにかする気はそんなにないのにー。まあ、ビビってるくらいのほうがこういう場合、いいのかもねー。
「あ、あの……! 知ってる人だけのところなら、ぼ、僕もその、言っても良い?! そ、そ……ソウマさん、って」
「……ま、まあそのくらいは。ヤミくんにヒカリちゃんは言いふらしたりしないって信じてるから」
「! う、うん! 絶対に言いふらしたりしないよ、僕と、あいや僕達とソウマさんとの秘密だよ!」
「ふふ、そうねヤミ。私達だけの秘密ねー」
ヤミくん、ヒカリちゃんが興奮からか顔を赤らめて尋ねてくる。
こちらに関しては何でもオーケーだよー、かわいいよー。双子にはついつい甘くなっちゃう僕だよ、なんかパパになった気分になるからねー。