第二章 Kirihata's Growth
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翌日の五時、桐畑は、周囲からの物音で目を覚ました。腹筋を使って起き上がり、ゆっくりと辺りを見渡す。
カーテンこそ開かれているが、外の様子は深夜と大差がなく、部屋は暗かった。
部屋いっぱいに広がるベッドの傍では、様々な年齢の男子生徒が、スポーツ用の服装に着替え始めていた。男子生徒たちの足元には、ラクロスのスティックやテニスのラケットが見られた。
「おはよ、ケント。良い朝だね。なんかうなされてたみたいだけど、寝られた?」
心配を滲ませた声に振り向く。組んだ両手を頭の後ろに据えたエドが、桐畑を揺れない瞳で見詰めていた。
混乱する桐畑は、しどろもどろと返事をする。
「えっ。うなされ……。身に覚えがないっつの。ってか、エド、ベッドはどこだったっけ? 俺、そんなどでかい声で……」
「ああ、いやいや。嘘だから嘘だから。いくらなんでも、焦りすぎだろー。心当たりでもあんのかと思っちゃうよ」
毒気のない柔らかい語調のエドは、目を細めて笑っている。
「ぱぱっと着替えて、ぱぱっと朝練行こうぜ! ブラムは、もうグラウンドだしさ。相っ変わらず、キャプテン魂全開って感じだよなー、あいつ」
「おう、了解。アルマがいないうちに上手くなって、思いっきり鼻を明かしてやっか」
桐畑は、エドのあっけらかんとした物言いに合わせて、戯けた。自分を無条件で信じてくれる気の良い仲間の存在に、感謝をしたい気分だった。
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翌日の五時、桐畑は、周囲からの物音で目を覚ました。腹筋を使って起き上がり、ゆっくりと辺りを見渡す。
カーテンこそ開かれているが、外の様子は深夜と大差がなく、部屋は暗かった。
部屋いっぱいに広がるベッドの傍では、様々な年齢の男子生徒が、スポーツ用の服装に着替え始めていた。男子生徒たちの足元には、ラクロスのスティックやテニスのラケットが見られた。
「おはよ、ケント。良い朝だね。なんかうなされてたみたいだけど、寝られた?」
心配を滲ませた声に振り向く。組んだ両手を頭の後ろに据えたエドが、桐畑を揺れない瞳で見詰めていた。
混乱する桐畑は、しどろもどろと返事をする。
「えっ。うなされ……。身に覚えがないっつの。ってか、エド、ベッドはどこだったっけ? 俺、そんなどでかい声で……」
「ああ、いやいや。嘘だから嘘だから。いくらなんでも、焦りすぎだろー。心当たりでもあんのかと思っちゃうよ」
毒気のない柔らかい語調のエドは、目を細めて笑っている。
「ぱぱっと着替えて、ぱぱっと朝練行こうぜ! ブラムは、もうグラウンドだしさ。相っ変わらず、キャプテン魂全開って感じだよなー、あいつ」
「おう、了解。アルマがいないうちに上手くなって、思いっきり鼻を明かしてやっか」
桐畑は、エドのあっけらかんとした物言いに合わせて、戯けた。自分を無条件で信じてくれる気の良い仲間の存在に、感謝をしたい気分だった。