僕らは何かが欠けている。
 生まれてくるときにどこかで落としてきたらしい。
 でもいい子にしていたら愛してくれるって、パパとママは言っていた。

 だから今日まで、言われた通りにいい子でいたよ。
 自分さえも偽って生きてきたんだ。
 だからパパもママも喜んでくれたんでしょ?
 けれど、ふたりとも何も教えてくれない。
 大人の言うことを聞いていればいいんだって、笑って繰り返すだけ。

 そんなとき、突然現れたアイツが不気味に笑って言ったんだ。

「温めすぎた鳥籠の居心地はどうだい? 欠陥品」

「いい子」じゃなくても、僕らが生きていい世界はありますか?