お隣に住む従姉妹のお姉さんが俺を放っておいてくれない

「はくしゅん!」

「うう~……まさか君の風邪を貰っちゃうなんて……不覚……」

「……せっかく元気になったんだから、あんまり傍に来ない方がいいんじゃない? また移っちゃうかも」

「そしたらまた看病してもらう? ……ふふ、もー。それじゃループじゃん」//笑いながら

「……ありがと。ほんとは来てもらえてすごく嬉しい。ちょっと心細かったんだぁ」

「私の部屋に入るの、初めてだよね? なんか緊張するなぁ」

「……あ、あんまりじろじろ見ないで。変なものは置いてないと思うけど……」

「君の写真も隠してあるし……」//ぼそっと

「う、ううん? 何でもない」//誤魔化して

「食欲? うん、ちょっとお腹すいたかも」

「え? おかゆ? 君が作るの?」//びっくりして

主人公が取り出したレトルトパウチを見て笑う。

「あっなんだぁ、レトルトかぁ」

「良かった、それなら君も怪我しないね。それじゃ、お願いしようかな」

//食器の音

「できた? それじゃぁ……あーん」

「食べさせて、くれるでしょ?」

「重たくって器持てないもーん。ほらほら、あーん」

おそるおそる食べさせる主人公。

「はむ、ん、うん。おいしい」

「君が食べさせてくれたから、愛情の分、更においしいの!」

//食器の音

「ごちそうさまぁ。食べたら、なんだか暑くなっちゃった」

「べたべたするし……体拭きたいなぁ」

「……拭いてくれるの?」//からかうように

「冗談冗談。じゃぁささっと拭いちゃうから、ちょっと後ろ向いてて」

//SE 衣擦れの音

「んん……ねぇ、やっぱり背中だけ拭いてくれない?」

「だって、気になるんだもん。手も届かないし……お願い」

仕方なく振り向く主人公。
前を服で隠して、髪を退け、こちらに背中を向けているヒロイン。
その背中を、あまり見ないようにして拭う。

「ん……気持ちいい……」

「え、ちょ、つよいつよい。どしたの?」

//SE 衣擦れの音

「あーさっぱりした! ありがとね」

「すっきりしたし、薬も飲んだし、よく眠れそう。今日は本当にありがとう。あとはもう大丈夫だから、帰っていいよ」

「……え? 眠るまで、いてくれるの?」

「でも、君だって忙しいのに……」

「……えへへ、そっか、ありがとう。じゃぁ、お言葉に、甘えちゃおうかな」

「私が眠るまで、手を握っててくれる?」

「ふふ、ありがとぉ」

「ニヤけてる? だぁって、嬉しいんだもん。君がこんなに甘やかしてくれるなら、たまには風邪も悪くないなぁ」

「……どこにも行かないでね。ちゃんと傍にいてね。眠るまで……ううん、眠っても……ずうっと……」

「すー……すー……」//寝息
「今日は映画を見ます!」//ドヤ顔

「異論は認めません! 決定です!」

「何を見るかって? ふっふっふ、コレです! 夏といえばホラーでしょ~」

//SE ジャジャーン
ノートPCの画面を見せるヒロイン。ホラー映画のタイトルが映っている。

「この映画、すごく話題になったし、気になってたんだよねぇ。やっと配信開始したから、これはもう君と見るしかない! と思って」

「え? なんで映画館に見に行かなかったのかって?」

「だ……だって……そのぅ……」//もじもじと

「……こ、怖いし……」//テレたように

「だ、だって! 映画館だと、すごく怖いもう無理ってなっても、出られないじゃない!? 途中で退席すると邪魔になるし、なんか負けた気分になるしっ」//言い訳するように

「でも、君と一緒なら……怖くても、大丈夫かなぁ……って……」

//SE 袖を握る音

「い、いいでしょ? 一緒に……見よ?」//上目遣いで

了承する主人公。

「……!」//嬉しそうに

「やったぁ! じゃぁ飲み物とかお菓子用意するから、座って待っててね!」

//SE 食器の音や、飲み物を注ぐ音

「んしょっと。はい、詰めて詰めてー」

//SE 座る音、むぎゅっとくっつく音

「え? だって、ノートパソコンの画面小さいから、くっつかないと二人で見れないでしょ?」

「テレビに繋げる? うそ、そんなのできたんだ」

「……で、でも、画面が大きいと怖くなるから! やっぱりこのまま!」

映画を再生する。
//SE おどろおどろしい音

「…………」//緊張した様子で

//SE 急に大きな音

「ひゃぁっ!?」

「び、びっくりしたぁ~……」

「…………」//主人公をちらちら窺う

//SE 急に大きな音

「ひょわぁっ!?」//主人公に飛びつく

「うううやっぱり怖いぃ~! 私こういう急にくる系苦手なのぉ~!」

「嫌なら見なければ……って、もう! 違うの! 見たいことは見たいの!」

「うぅ~……ね、ねぇ、このままくっついてても……いい?」

「こうしてたら、ちょっとは怖くないもん……」

//SE ぎゅう、とさらにしがみつく音

「……いいの? えへへ、ありがとぉ」

//SE ホラー映画の音
以下映画を見ながらの反応 断続的に

「ひゃうっ」

「うう……」

「~~~~!」//怖すぎて声にならない

//SE エンドロールっぽい音楽
//SE ノートPCを閉じる音

「あー、怖かったぁ!」//満足げに

「でも面白かったねぇ! ね! ……あれ?」

「わ、どうしたの? すごい汗かいてる」

「あ……そっか、私がずっとくっついてたから、暑かったんだ。ご、ごめんね」

「冷房下げても良かったのに」//心配そうに

「……私が寒いと思って?」//驚いて

「……そっか。ふふ、気にしてくれてありがとう。でも熱中症とか怖いし、次からは遠慮しないでね」

「もし寒かったら、君にあっためてもらうから……大丈夫♪」
「スポーツの秋です!」

//SE ドドン、というような強調音
嫌そうな顔をした主人公が逃げようとする。

「こーら、逃げない!」

「君ぃ……ちょっと太ったよね?」//ジト目で

「私のご飯が美味しいから? ……そ、そっか……ありがとう……」

「ってそうじゃなぁい!」

「ダメ、ダメよ私甘やかしちゃ。ちょっとくらい太った方が可愛いとか、首の後ろのたぷたぷしたところを触るのが実は楽しいとか、思っちゃダメ……! 健康のためなんだから……!」//小声で

「今日はこれからジョギングに行こうと思います!」

「安心して、君だけに大変な思いはさせません。私も一緒に走るから」

「このカッコ? えへへ、似合う? 前に私もジョギングしてたことがあって、その時買ったウェアなんだぁ」

くるっと回ってウェアを見せるヒロイン。

「だ、ダイエットじゃないもん! 健康のため……そう、健康のためだもん!」

詰め寄るヒロインの服装を眺める主人公。特に胸部を注視。
//SE ぽよん、というような巨乳を表す音

「……どうしたの? じっと見て」

「え、走ってる時? うーん? 視線は感じたけど……ジョギングしてる人とかってつい見ちゃうし、そんなものじゃない?」

「あ、ウェアが可愛いからかな! なーんて」

「…………え? 一緒に走るの、ヤダ……?」//絶望的に

「一人で行く……? な、なんでぇ? 私と並んで走るの、嫌? 恥ずかしい? 私と一緒にいるの恥ずかしいの!?」//縋るように

「じゃ、じゃぁ、後ろからついていくならいい!? 離れて走るから! 声かけないからぁ!」

「え? ……私が見られるのが、嫌?」//きょとん、として

全然察してくれないので、しぶしぶ(胸の大きな女の人が走っていると、男はつい見てしまうから)と説明する主人公。

「ふ、ふぅん? そっか、君は、私が他の男の人に見られるの嫌なんだぁ? そっかぁ」//そわそわと、嬉しそうに

「それなら仕方ないなぁ。じゃぁ、部屋の中で筋トレしよっか。二人きりなら、いいでしょ?」

「まずは腹筋からね」

//SE 床に転がる音

「よいしょっと」

//SE ふに、と柔らかい音
主人公の両足、足の甲の部分を押さえるようにヒロインが乗っかる。

「え? 足押さえてた方がいいでしょ。浮いちゃうし」

「手で押さえてほしい? えぇ~、君の体重じゃ押さえきれないよ。重しなんだから、重いのは我慢して」

そうじゃない、と顔を顰める主人公。重いのが嫌だと思っているヒロインは無視してカウントを始める。

「はい、いくよー。いーち、にーい」

//SE 腹筋の音

「さーんじゅいち、さーんじゅに」

//SE ばた、と倒れる音

「あっこらぁ! 50回までやるって決めたでしょ!」

「ほらほら、もう半分以上きてるんだから。がんばれ♡ がんばれ♡」

//SE ぺちぺちと軽くひざを叩く音
//SE 腹筋を再開する音

「おっ! えらぁい! その調子!」

「よーんじゅく、ごーじゅう!」

//SE ばた、と倒れる音

「がんばった~! えらいえらい! よくできました!」

//SE ぱちぱちと拍手の音

「さぁて、次は腕立て伏せだ!」

「逃がさないぞぉ~。ご飯を美味しく食べるためにも、運動はしっかりしないとね」

「全部終わったら、ちゃぁんとご褒美あげるから……ね?」
「ふにゃー……おこた最高……」

「冬はやっぱりこたつでみかんだよねぇ」

「はい、あーん」

みかんの房を差し出すヒロイン。
自分で剥ける、と拒否する主人公。

「ええ~、せっかく剥いたのにぃ。筋も綺麗にとったよ?」

綺麗に剥かれたみかんを眺めて、手に取る主人公。

「あっやっぱり食べる?」

主人公がヒロインの口元にみかんの房を差し出す。

「ん? ……食べさせてくれるの?」

「へへ、あーん。はむ、ん、んふふ、おいし」

「剥いたの私だけどね~」

「もう一個? あーん」

「なになに、どしたの? ……餌付けしてる気分?」

「……楽しいの?」

意外と楽しい、と真顔で答える主人公。

「ん~……」//テレたような、むずがゆいような感じ

「普段は私が餌付けしてる方だから、なんだかこそばゆいなぁ」

「……餌付けだよ? 君が私のご飯を一番美味しいって覚えて、他のものなんか要らなくなればいいなぁって」

「ふふ、じょーだん、じょーだん」

「……お?」

//SE 髪を撫でる音

「きゅ、急に頭なんか撫でちゃって……どしたの?」//動揺して

「いつも頑張ってるご褒美?」

「ご飯作ってるのは、私が好きでやってることだし……他のことだって……」

「ん……んえへへへ……」//嬉しくて顔が緩む

//SE わちゃわちゃした音
主人公がヒロインの顔から頭から撫でくり回す

「わわっ? ちょっと、ぐちゃぐちゃになっちゃう、んむ」

「か、飼ってた猫を思い出した?」

「ん~~、んもう!」

「つーかまえた♪」

主人公の手を掴まえて、頬をすり寄せる。

「触るなら、優しく触ってほしい……にゃぁ♡」

//SE にゃー 猫の鳴き声
実家の猫の幻覚が見えている主人公。

「ふにゃ!?」

あごの下をこしょこしょされるヒロイン。

「ね、猫じゃない、猫じゃないから、あご撫でてもごろごろ言わない……っ」

//SE ごろごろ 猫の鳴き声
※主人公の幻聴

「くすぐった……っ、んう」

//SE 猫パンチ 肉球っぽい音

「そこまで!」//真っ赤になって

「本日のじゃれあいタイムは終了しました! 猫はこたつで丸くなります!」

こたつにもぐろうとするヒロインに、猫じゃらしを持ち出す主人公。

「ぐ……っ、ね、猫じゃらしを構えてしゅんとしてもダメです!」

//SE きゅぅん、と子犬の鳴き声
主人公に子犬の幻覚が重なって見えているヒロイン。

「はっ、子犬の幻覚が!?」

「う、うう……っ」//葛藤して

「…………にゃぁ」

//SE ぺし、と猫じゃらしを叩く音 鈴が鳴る
その後も遊んでいる感じで、叩く音と鈴の音を何度か繰り返す。

「……ご満足いただけましたか、ご主人様」

満足げな主人公。

「……」//仕方ないなぁ、というような吐息

「君に飼われるなら、悪くないかもなぁ」

「でも、君のことはそのうち私が飼うんだけどね」//ぼそっと

「んーん? なんでもない。たまーになら、また遊んでほしいにゃぁ♡」
「かんぱーい!」

//SE グラスをぶつける音
肩を並べて座っている。テーブルの上にはご馳走とビール缶、ワインボトルなど。

二十歳(はたち)の誕生日おめでとう~!」

「君もすっかり大人の仲間入りだねぇ。はい、飲んで飲んで~」

「自分の許容量を知るのは大事だからねぇ。外で人様に迷惑かけないように、最初のうちは家で、信頼できる人と飲むのがいいよ」

「だから大学での飲み会とか……行ってもいいけど、お酒は飲まないようにね? 悪い人が酔わせようと企んでるかもしれないから……ね」//不穏な感じで

「今日は私がいるから、安心して、好きなだけ飲んでいいからね?」

「潰れちゃっても、ちゃぁんと私が面倒見るから。あっでも、気分が悪くなったりしたら、無理しちゃダメだよ? 少しずつ、ね?」

//SE お酒を飲む音

「美味しい? ふふ、良かったぁ。おつまみもたくさん作ってあるからね。勿論、最後にはケーキも」

「もう君が引っ越してきて、一年以上経つのかぁ……。なんだかあっと言う間だったな。毎日楽しくて」

「ご飯作ってあげたり、耳かきしてあげたり、マッサージしてあげたり……。二人で順番こに風邪ひいたこともあったねぇ」//最後笑いながら

「映画見たり、運動したり、こたつでだらだらしたり……。どの季節も君との思い出があって、本当に……楽しかった」

「君も、楽しかった? ……ふふ、そっか。なら良かった」

「来年も、再来年も。ずぅっと、こうやってお祝いしたいな」

「なぁんて。いつまでも独り占めはできないか。君も、もう大人だもん。その内、”お姉さん”なんていらなくなっちゃうかも」

「……そんなことない? ほんと?」

「ご飯が美味しいから……って、もう! ご飯だけ?」

「まぁ……狙い通りだからいいけど」//ぼそっと

「ううん、なんでもない。ほらほら、その美味しいご飯をどうぞ。あーん♡」

//SE 時計の音 時間経過

「……おーい? 大丈夫? 起きてる?」

「酔っちゃったかぁ。結構飲んだもんね」

「気持ち悪くはない? 平気?」

「お水飲める? はい、ゆっくりね」

//SE 水を飲む音
酔ってぼうっとした主人公が、ヒロインにもたれかかる。

「あらら。おねむかなぁ?」//からかうように

「おーい。このまま寝られちゃうと、私じゃ君をベッドに運べないんだけどなぁ」

//SE ずり落ちる音
もたれていた主人公が、ヒロインの膝に落ちる。

「うーん、仕方ない。朝まで膝枕コースかなぁ、これは」//嬉しそうに

//SE ぎゅう、と抱きしめる音
主人公がヒロインの膝に乗ったまま、腰を抱きしめる。

「ふふ、酔うと甘えんぼになるのかぁ。ぎゅってくっついちゃって、かーわい」

「ほんと、よそで飲ませないようにしなきゃ……」

「私も、君を離してあげる気はないから」//髪を撫でながら

「卒業しても、ずっと一緒がいいって言わせてみせる」

「……楽しみだねぇ」

//SE キス音
主人公の額にキスを落とすヒロイン。

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