小さめの棚とトイレが付いた1人用の個室(病室)
やっと【舌】を治すことが出来たと思うと、嬉しくて
枕をぎゅっと抱きしめる。

今日は、夢ちゃんと優里が来てくれる日。
2人の好きな飲み物を買いに部屋から出る。
自動販売機でジュースとお茶を買っていると、「おーい、夢ー!」と声が聞こえてきた。
「優里。久しぶり。」と、小走りで近寄ってきた優里に声をかける。

「もう~、優里さん張り切ってパンケーキ買ってきたよ~。」

今、先輩が行ってこいって言ってくれてねパンケーキ取ってくるね~。
そういうと優里は来た道を戻って行った。

「先輩ってもしかして、、」

まさかと思っていると、優里と夢ちゃんがこちらに向かって歩いてきた。
「遅くなってごめんね。ついつい買いすぎちゃって。」
そう言っている夢ちゃんの腕にはパンパンになった紙袋があり、

「夢~!」

と言いながら手を振り小走りをしてこっちに来ている優里の手には白い箱が、

「夢ちゃん、先輩特製のプレートを作ってきたよ。」

と言う田川先輩(・・・・)の手には保冷バッグが。

「皆、今日は来てくれてありがとう。先輩もありがとうございます。」

お礼を言うと先輩は、

「ほらほら、行こう。おいしいうちに食べるのが一番なんだから。」

と言い先輩にせかされ4人で部屋に行く。

【101号室・夢見結】

と書かれた部屋に入ると私は紙コップを用意しさっき買ったジュースを入れる。
こんな感じなんだ~と言いながら3人は部屋を見て回っていた。

「ごめんね、テーブルこれしかなくて、、ちょっと狭いけどよかったらジュースどうぞ。」

「やったー!喉乾いてたんだよね。ありがとう、夢!」

「それならよかった。でも、よくこの部屋だってわかったね。」
彼女たちが来るのは分かっていたが、連絡手段がないため誰から病室の場所を聞いたのか不思議だった。

「お母さんだよ。夢ちゃんのお母さんが教えてくれたんだ。」
私が疑問に思っていると、先輩が答えてくれた。

「そうなんですね!先輩も来てくれるなんてびっくりしました!」

「夢ちゃんに少しでも会いたくて、」

少し頬を赤らめながら言う先輩はとてもかわいらしかった。

机を見ると、優里が準備をしてくれていた。
何か手伝えないかと声をかけると準備はもう終わっていた。

「では、皆さんお席について、紙コップを持ってください。」

「夢の回復祝い!あーんど、夢1カ月間お疲れさまでした!カンパーイ!」

「「「かんぱーい!」」」

4人で紙コップを合わせごくごくとジュースを飲んでいく。
色々なことを話しながら食事をし、楽しい時間を過ごした私は経過観察が終わった後に退院し、
先輩との恋だったり、優里に彼氏が出来たり、夢ちゃんがテストで学年1位を取ったり3人で高校生活を満喫した。

「いつか色が付いたなら」

~完~