秘密をお互いに話した私達は体育祭で優勝することが出来た。
きっとあの時話さなかったらもやもやした感情が心に残り本番で上手くいかないことが出てきていたと思う。
だからこそ【舌】のことを言ってよかったと思うしお互いの秘密を知った今では夢ちゃんのことをより一層知れた気がする。
あの時夢ちゃんは、「この力と向き合うことが出来そう(・・・・・・・・・・・・・・・・)」と言っていた。
すっごく嬉しかった。向き合うことが出来そうと言ってくれたのが嬉しかった。

でも、私は?

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あの日、夢ちゃんと色々な話をしているとスマホに1通の通知が来た。
通知を見るとそこに書いてあったのは、、
【未知の病気、舌覚異常症。原因判明。×印をなくすことに成功。】

と書いてあった。
その通知を見た時私も夢ちゃんみたいに【この舌】と向き合うことが出来るのか分からなくなってしまった。

私は、完全に治すことは出来なくても舌の×印を薄くして味を感じられるようにするための治療法があるのは知っていた。
でも、私は踏み出す勇気がなかった。夢ちゃんの言葉を聞いて(この力と向き合うことが出来そう)舌の治療をしようと芽生えかけていた心は簡単に崩れかけてしまった。というのも私は昔から治せないかずっとその方法を探していた。
でも、いつしかこの舌と上手く付き合っていこうと考えるようになった。だから通知を見ても、私は付き合っていく方がいいんじゃないかと付き合っていく方を選びかけていた。

「結ちゃん。結ちゃん!」

夢ちゃんに強く名前を呼ばれ話の途中だったと思いちゃんにごめんね。ボーっとしてた。と伝える。
舌のことについて考えているのが分かったのか、夢ちゃんは私にこう言った。

「結ちゃん。あのね、結ちゃんは自分なりに頑張ってるって今までの話からね分かったの。
結ちゃんが頑張って頑張ってその結果が上手く付き合っていくってことだったとしても、結ちゃんが努力したっていう事実に変わりはないし結ちゃんが頑張って良かったって思える道を進んだらいいと思うよ。
結ちゃんのペースで進んでいいんだよ。ってさっき励ましてもらった私が言うのもなんだけどね。」

あはは~と夢ちゃんが笑う。
夢ちゃんそんなことないよ。

夢ちゃんの言葉はすごくすごく私の心を震わせ、その言葉は私の胸にゆっくりとしみこんでいき、
崩れかけていた心はもとに戻っていった。

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今まで、私は前に1歩踏み出す勇気がなかった。
上手く付き合っていくしかないと割り切って治療することをあきらめた。
でもね、夢ちゃんのお陰で、少し前を向くことが出来る気がする。
夢ちゃん、ありがとう。私、頑張ってみる。

『前を向いてみる。』