6月2日 市ノ瀬瑞希
隣りにいてほしい。
だなんて。
私になんか、
言わなきゃいいのに。
そう思っている自分がいるけれど。
それでも今は、
これの思いに応えなきゃ―――。
そう思った。
「わかった。私でいいなら、」
自ら、涼の手を握った。これ以上ないぐらい、強く、強く。
これ以上悲しい思いをしませんように、と。
「ありがとう。本当に嬉しい。」
そう笑顔で微笑む涼の手は、氷のように冷たかった。
そしてその手は更に硬く握られ、かすかに震えていた。
それはまるで、涼の心を表しているみたいで。
自分までその心の氷で心を引き裂かれたような感覚になった。
でも、自分が悲しい思いになってでも、守りたい存在だった。
いつまでも一緒にいたい。
そんな思いだけが、今の私を動かした。