6月2日         市ノ瀬瑞希


あぁ、やばい
ドキドキする。

何故かって、呼び出しされたから。
今日の放課後、屋上にって。

しかもそれは先生とかじゃなくて、まさかの涼。



涼は最近本当に私にたくさん話しかけてくる。
私なんかといても、ちっとも楽しくないのに。
まぁ、一人でいるよりは救われてる感じしていいんだけど。


気づくと涼のことばかり考えている事がある。お互いに名前で名前で呼び合っていることを考えると、体が熱くなる。




―――これは、、、、恋??

いやいや違う違う違う違う!

わっ、私が、り、涼のこと、すっ好きとかないしっ!

そう自分にいい聞かせる。
だって、叶わないから、どうせ。



この愛の果実が、涼にバレないまま、弾け飛んできますように。そう思った。










放課後になった。
2人はお互いに部活動に所属していないため、都合が合いやすい。

私、何言われるんだろう、、、

ドキドキと涼に会える喜びが入り混じった気持ちを持って、屋上に向かう。






あ、いた、あの背中は、涼だ。
温かく輝いた涼の背中は、いつも眺めているからわかる。ついつい追ってしまう、そんなな背中。

「あ、瑞希!来てくれてありがとう。」
「ううん、全然大丈夫だよ。」

あぁ、二人きりで話せるなんて、ほんと嬉しい。
やっぱり私、涼に恋してるんだな、とつくづく思う。


「僕さ、、、、、」
沈黙が流れる。










「あと余命半年なんだ。」






え?涼は何を言ってるの、?



さらに静かな沈黙が流れる。


 



「だからさ、今年まで生きられるかなー?って感じでさ。今年すらも無理かも知んないけど。ほんとなんかバカみたいだよね」

聞いたことないぐらいの早口だった。
そして乾いた笑い。

その雰囲気だけで涙が出てきそう。











ポロリ。

私の頬を生きてきた中で一番と言っていいほどの大粒の涙が伝った。