5月6日 市ノ瀬瑞希
真っ暗の世界のまま、時はあっという間に過ぎ、4月には始業式(入学式)が行われた。今年高1になった私だか、これと言って変化はない。母が亡くなったことだけ。私の通う高校は、通っていた中学校と近いため、ここの高校に入学する者が多い。ほとんどが知っている顔だった。
チャイムとともに新しいクラスに移動し、クラスメイトを確認。少し喋れるぐらいの人が数人。
まぁ、どちらにせよ、一人なのだけれど。
思わずため息が出そうになった。
誰とも喋らず席につく。中学の頃からのルーティーン。いつから友達とあまり話さなくなったのだろう。
そんな日々をただただ繰り返し、一ヶ月の月日が経った、ある日のこと。
『ガラガラ』
教室のドアが開く音がした。
少し背の高い、整った顔の男子生徒が入ってきた。髪はまるで少し透けているような茶色。私は彼に釘付けになっていた。
「こんにちは。これから皆さんと一緒に過ごすことになった、久保田涼です。よろしくお願いします。」
数秒後パラパラと拍手が起こりはじめた。それに続いて私ももハッとして拍手を始める。
ああ、この人きっと、この透明な茶色の髪のように心の綺麗な人だ―――。喋ったこともないけど、そう確信した。
「じゃあ、久保田は市ノ瀬の隣の席な」
え、わ、私??
緊張して体が強張る。
「市ノ瀬さん、よろしくね」
今まで見たこともないような笑顔で話す。とても優しい声だった。
「よ、よろしく。久保田くん。」
「名前で呼んでほしい、涼でいいよ。」
、、、、
ふぇ?何いってんだ、こいつ。初日からそんな呼べるわけないだろ!
「ああ、、、う、ん、、、私のことも名前でいいよ、」
何いってんだ、私。恥ずかしさを隠すように逆を向いた私に、
「じゃあよろしく、瑞希。」
なんて言ってくる。さっきから彼の言葉は爆弾だ。私の気持ちはジェットコースターみたいにぐるぐるしてる。
これから彼とどうなっていくのだろう。
私をこの真っ暗闇から出してくれたりしないかな。
そんなことは出来ないと、この頃はまだ、思っていた――。
真っ暗の世界のまま、時はあっという間に過ぎ、4月には始業式(入学式)が行われた。今年高1になった私だか、これと言って変化はない。母が亡くなったことだけ。私の通う高校は、通っていた中学校と近いため、ここの高校に入学する者が多い。ほとんどが知っている顔だった。
チャイムとともに新しいクラスに移動し、クラスメイトを確認。少し喋れるぐらいの人が数人。
まぁ、どちらにせよ、一人なのだけれど。
思わずため息が出そうになった。
誰とも喋らず席につく。中学の頃からのルーティーン。いつから友達とあまり話さなくなったのだろう。
そんな日々をただただ繰り返し、一ヶ月の月日が経った、ある日のこと。
『ガラガラ』
教室のドアが開く音がした。
少し背の高い、整った顔の男子生徒が入ってきた。髪はまるで少し透けているような茶色。私は彼に釘付けになっていた。
「こんにちは。これから皆さんと一緒に過ごすことになった、久保田涼です。よろしくお願いします。」
数秒後パラパラと拍手が起こりはじめた。それに続いて私ももハッとして拍手を始める。
ああ、この人きっと、この透明な茶色の髪のように心の綺麗な人だ―――。喋ったこともないけど、そう確信した。
「じゃあ、久保田は市ノ瀬の隣の席な」
え、わ、私??
緊張して体が強張る。
「市ノ瀬さん、よろしくね」
今まで見たこともないような笑顔で話す。とても優しい声だった。
「よ、よろしく。久保田くん。」
「名前で呼んでほしい、涼でいいよ。」
、、、、
ふぇ?何いってんだ、こいつ。初日からそんな呼べるわけないだろ!
「ああ、、、う、ん、、、私のことも名前でいいよ、」
何いってんだ、私。恥ずかしさを隠すように逆を向いた私に、
「じゃあよろしく、瑞希。」
なんて言ってくる。さっきから彼の言葉は爆弾だ。私の気持ちはジェットコースターみたいにぐるぐるしてる。
これから彼とどうなっていくのだろう。
私をこの真っ暗闇から出してくれたりしないかな。
そんなことは出来ないと、この頃はまだ、思っていた――。