「お前デブなんだからさ。」「病気?ウケる。」「お前ダルいって。」
 何度も何度も言葉の刃物が私を刺す。でもそれが"愛"だと信じきっていた。あの時もっと早く気づけたら…。
 中学二年生の秋、私たちの学校では体育祭が行われた。コロナ禍で縮小開催となったもののとても盛り上がっていた。最後は選抜リレーがお決まりで、男子800mリレーが開始した。田舎の学校なのでクラスは3クラス。その1本で勝敗が決まる。そんな中で私が釘付けになった男の子つばさがいた。身長は平均的だが少し細身。けれど程よく筋肉があって足が速い男の子だった。普段はうるさいグループにいるけれど、何を考えてるかよく分からなくて、成績はいつもトップクラス。野球部に所属しており、スポーツも万能。なんの取り柄もない私にとってそんな彼は憧れで眩しかった。
 体育祭も終わり、もうすぐ冬だと思い始める頃に彼は怪我をした。ほとんど会話をしたことがなかったけれど、心配になる気持ちと話してみたいという気持ちでLINEを打った。「足、大丈夫?」そう送ると「全然平気笑」そう返ってきた。でもまだ話がしたい。だから返信が返ってきそうな質問を何度かして、会話が途切れないように必死に文字を打った。彼は丁寧に全て返してくれた。その日から私たちは何気ない会話を毎日するようになった。