「今朝未明、存在しない町にある、【刑務所イグジスト】、イグジストの看守が脅され、
死刑囚のデータが盗まれたと通報がありました。
 盗まれたデータは、5年前に刑が実施された囚人のもので、警察が犯人の特定を急いでいます。」
スマホでニュースを見ていると、イグジストに収監されていた囚人のデータが盗まれたという速報が入ってきた。
もしかして、盗まれたデータっておじいちゃんのだったりするのかな?と思うが、
それだったら、盗んだデータを何に使うんだろう。
とても、不思議に思った。

「皐月、ご飯できたよー。」
「はーい。」
母の呼ぶ声が聞こえ、1階へと向かう。
机に置いていたスマホをカバンに入れ、階段を下りて1階に行く。
1階のテレビでも、イグジストの話題を取り上げており、現場との中継が繋がっていた。
スマホの動画投稿アプリで見ていたニュースと内容は変わらなかったが中継が繋がっていたので見ることにした。
「○○で―。」
アナウンサーさんが、現地で取材をしている映像を見ていると画面の奥に映る、1人の男性がいた。
男性は、カメラに向かって微笑んだ。
男性が映ってから、少しして中継は終わったが、あの男性は何だったんだと少し気になった。
中継が終わってから、
『「タイトルは―、【稲の穂が実る月(文月)】」
もうすぐ、迎えに行くからね。ひーめ。』
そんな、声が聞こえた気がした。
声が聞こえた時、とても冷たい風が吹き、そして、恐怖を少し感じたのは気のせいだろうか。