早月
都心からだいぶ離れたところにある小さな町。
「存在しない町」
そう呼ばれたこの町には、【無期懲役】【死刑】
を言い渡された人が収容される刑務所がある。
その刑務所の名は「イグジスト」。
私、皐月は
「存在しない町」にある「存在」を意味する「イグジスト」と、という名を付けられた刑務所の面会室にいた。
「おじいちゃん本当に死んじゃうの?」
「あぁ。そうじゃ、皐月が無罪を訴えてくれたのに、、本当にすまない。」
「謝らないでよ!そもそも、私が証拠を集められれば、おじいちゃんは死なずに済んだのに・・・」
「あと五分です。」
スピーカーから残り時間を告げるアナウンスが流れる。
あと五分もすればもう、二度とおじいちゃんに会うことは出来ない。
「そうじゃ!わしの家の鍵を皐月に渡そうと思ってな。」
「え?おじいちゃんの家の鍵?」
「あぁ。わしからの最後のプレゼントじゃ。」
「っでも!家にはおばあちゃんがいるんでしょ?おばあちゃんに渡さないの?」
「安心せい。嫁さんも鍵を持っておる。それは、皐月へのプレゼントじゃ。」
そう言うとおじいちゃんは仕切りに空いた隙間から鍵を私に渡した。
「ありがとう。ありがとう。」
泣くな。泣くな!笑え。笑え。
「皐月?もしかして泣いておるのか!?」
「ううん。泣いてないよ!」
「!ハンカチはあったかのぅ。」
おじいちゃんは明らかにオロオロしている
「大丈夫だよ、おじいちゃん。おばあちゃんに言っといて欲しいこととかある?」
「皐月は弱虫だった。とでも言っといてくれ。」
「そんなことでいいの?あと、私は弱虫なんかじゃっ、、」
「嫁さんには手紙を送ってある。だから心配するな。あと、皐月は、弱虫じゃ!そこは譲れん!」
「ふふっ。おじいちゃん。おじいちゃんの中にいる私は、我慢強くて、たまに、たまに、泣いちゃうけど、
強い皐月のままがいいな~、ねっ!?その方がいいでしょ?」
「かわいい孫の頼みじゃ。そういうことにしておく。
皐月は、強く、賢く、優しい、。わしの誇りじゃ!
その鍵は好きに使ってよい。お友達と一緒に家に遊びに行くのもよし!庭を見に行ってもよし!
あっ!そうそう。遊びに行ったら、嫁さんに、美味しい饅頭でも作ってもらうんじゃな。」
「おじいちゃん?」
「もうお別れの時間じゃ、」
おじいちゃんがそういうと
「あと1分で面会終了です。」
と時間を知らせる声がスピーカーから聞こえる。
数秒の沈黙の後、口を開いたのはおじいちゃんだった。
「皐月。皐月って名前はね神様が教えてくれたんじゃ。『お空に暗いけど、明るい闇が出てきたときに、教えてくれたんじゃ。
「この娘の名前は皐月が良いだろう。」』って教えてくれたんじゃ。
まだ、稲のように小さい赤子だが一年で大きく成長し一年がたつと更に力強く成長していく。
増えていく稲のように、皐月にはたくさんの知識と経験を稲のごとく増やしていってほしい。
という願いが込められているんじゃ。」
コンッコンッ。
扉を叩く音が聞こえる。
「時間だ。面会は終了だ。」
「じゃあお別れじゃな。」
え?いやだ!いやだよ!
「おじいちゃん?おじいちゃん!いかないで!まだ一緒にいようよ!ねっ!?ほら、一緒に話そう?」
目から涙がとどめなく溢れだす。
引き留めたって話すことは出来ないのに私は
「おじいちゃん!」
と、思いっきり叫ぶ。悔いのないように。
「私、「輪廻転生」って本当にあるって信じてるから、生まれ変わったら私に会いに来て!」
「待ち合わせ場所はどこじゃ。」
「昔よく遊んだ秘密基地!」
「あそこじゃな。わかったぞい。また、そこで会おうな。」
`皐月`
「面会は今日で最後だ。行くぞ。」
面会室からおじいちゃんが出ていくと、
「皐月さんはこちらから外に。」
と、職員が私に声をかける。
「はい。わかりました。」
(おじいちゃん。また、会おうね。)
「大好きだったよ。おじいちゃん。」
私は去り際にそうつぶやいた。
面会室の外に出ると冷たい風が建物を満たしていた。
「出口まで案内しますね。」
「ありがとう、ご、ざい、ます。」
気を緩ますと、涙があふれてくる。
正直この状態だとまともに歩くとが出来ないから出口まで送ってもらえるのはありがたい。
「では、気を付けてお帰りください。」
「ありがとうございます。」
バスに揺られながらおじいちゃんが言っていた言葉の一部を思い出していた。
「遊びに行ったら、嫁さんに、美味しい饅頭でも作ってもらうんじゃ。」
なんでこの言葉が出てきたのかはわからない。
でも、私は今すぐおばあちゃんに会いに行かないといけない気がした。
おじいちゃんの家に行かなきゃ!
私は気が付くと、「次でおります!」と、叫んでいた。
都心からだいぶ離れたところにある小さな町。
「存在しない町」
そう呼ばれたこの町には、【無期懲役】【死刑】
を言い渡された人が収容される刑務所がある。
その刑務所の名は「イグジスト」。
私、皐月は
「存在しない町」にある「存在」を意味する「イグジスト」と、という名を付けられた刑務所の面会室にいた。
「おじいちゃん本当に死んじゃうの?」
「あぁ。そうじゃ、皐月が無罪を訴えてくれたのに、、本当にすまない。」
「謝らないでよ!そもそも、私が証拠を集められれば、おじいちゃんは死なずに済んだのに・・・」
「あと五分です。」
スピーカーから残り時間を告げるアナウンスが流れる。
あと五分もすればもう、二度とおじいちゃんに会うことは出来ない。
「そうじゃ!わしの家の鍵を皐月に渡そうと思ってな。」
「え?おじいちゃんの家の鍵?」
「あぁ。わしからの最後のプレゼントじゃ。」
「っでも!家にはおばあちゃんがいるんでしょ?おばあちゃんに渡さないの?」
「安心せい。嫁さんも鍵を持っておる。それは、皐月へのプレゼントじゃ。」
そう言うとおじいちゃんは仕切りに空いた隙間から鍵を私に渡した。
「ありがとう。ありがとう。」
泣くな。泣くな!笑え。笑え。
「皐月?もしかして泣いておるのか!?」
「ううん。泣いてないよ!」
「!ハンカチはあったかのぅ。」
おじいちゃんは明らかにオロオロしている
「大丈夫だよ、おじいちゃん。おばあちゃんに言っといて欲しいこととかある?」
「皐月は弱虫だった。とでも言っといてくれ。」
「そんなことでいいの?あと、私は弱虫なんかじゃっ、、」
「嫁さんには手紙を送ってある。だから心配するな。あと、皐月は、弱虫じゃ!そこは譲れん!」
「ふふっ。おじいちゃん。おじいちゃんの中にいる私は、我慢強くて、たまに、たまに、泣いちゃうけど、
強い皐月のままがいいな~、ねっ!?その方がいいでしょ?」
「かわいい孫の頼みじゃ。そういうことにしておく。
皐月は、強く、賢く、優しい、。わしの誇りじゃ!
その鍵は好きに使ってよい。お友達と一緒に家に遊びに行くのもよし!庭を見に行ってもよし!
あっ!そうそう。遊びに行ったら、嫁さんに、美味しい饅頭でも作ってもらうんじゃな。」
「おじいちゃん?」
「もうお別れの時間じゃ、」
おじいちゃんがそういうと
「あと1分で面会終了です。」
と時間を知らせる声がスピーカーから聞こえる。
数秒の沈黙の後、口を開いたのはおじいちゃんだった。
「皐月。皐月って名前はね神様が教えてくれたんじゃ。『お空に暗いけど、明るい闇が出てきたときに、教えてくれたんじゃ。
「この娘の名前は皐月が良いだろう。」』って教えてくれたんじゃ。
まだ、稲のように小さい赤子だが一年で大きく成長し一年がたつと更に力強く成長していく。
増えていく稲のように、皐月にはたくさんの知識と経験を稲のごとく増やしていってほしい。
という願いが込められているんじゃ。」
コンッコンッ。
扉を叩く音が聞こえる。
「時間だ。面会は終了だ。」
「じゃあお別れじゃな。」
え?いやだ!いやだよ!
「おじいちゃん?おじいちゃん!いかないで!まだ一緒にいようよ!ねっ!?ほら、一緒に話そう?」
目から涙がとどめなく溢れだす。
引き留めたって話すことは出来ないのに私は
「おじいちゃん!」
と、思いっきり叫ぶ。悔いのないように。
「私、「輪廻転生」って本当にあるって信じてるから、生まれ変わったら私に会いに来て!」
「待ち合わせ場所はどこじゃ。」
「昔よく遊んだ秘密基地!」
「あそこじゃな。わかったぞい。また、そこで会おうな。」
`皐月`
「面会は今日で最後だ。行くぞ。」
面会室からおじいちゃんが出ていくと、
「皐月さんはこちらから外に。」
と、職員が私に声をかける。
「はい。わかりました。」
(おじいちゃん。また、会おうね。)
「大好きだったよ。おじいちゃん。」
私は去り際にそうつぶやいた。
面会室の外に出ると冷たい風が建物を満たしていた。
「出口まで案内しますね。」
「ありがとう、ご、ざい、ます。」
気を緩ますと、涙があふれてくる。
正直この状態だとまともに歩くとが出来ないから出口まで送ってもらえるのはありがたい。
「では、気を付けてお帰りください。」
「ありがとうございます。」
バスに揺られながらおじいちゃんが言っていた言葉の一部を思い出していた。
「遊びに行ったら、嫁さんに、美味しい饅頭でも作ってもらうんじゃ。」
なんでこの言葉が出てきたのかはわからない。
でも、私は今すぐおばあちゃんに会いに行かないといけない気がした。
おじいちゃんの家に行かなきゃ!
私は気が付くと、「次でおります!」と、叫んでいた。