桜が咲き、みんな新しい生活がスタートする春。ではなく、桜も散り、太陽の光がこれでもかというほど降り注ぐ暑苦しい夏。
私は学校にいた。いつもなんとなく生きて、なんともない平凡な日を送っている。これからもそうなるとおもっていたのに。
何が間違っていたの?
小学2年生の夏休み前。友だちとあと少しの時間を過ごしていた。というのも私は来年引っ越すのだ。友だちは知らないが。普通はいうのだろうが私は言わなかった。なんでかは私もわからない。言ってはいけないような気がしたのだ。私はいつも通りに友達の菜緒ちゃんと学校へ向かう。これももうあと少しなのかと思うと小学2年生の私もさすがに時間の大切さを実感した。
学校に着いた。菜緒ちゃんとはクラスが違うので靴箱でお別れする。3組なので廊下で1、2組の前を通るとまっくんが出てきた。まっくんはいつも私をからかうためだけに2組から毎日出てくる。私の名前が山本なので山芋里芋さつまいもー!なんて言ってくる。私の名前は今じゃ無いっつうの。クラスも一緒になったことないし、幼稚園も違うから今考えればなんでこんなにからかわれたか不思議だが。
教室に入るとあーちゃんともっくんとおっくんが挨拶してくれた。いつも仲良くしてくれる友だち。あーちゃんは足が速くて憧れだった。あのロングのサラサラヘアは手入れが行き届いていて綺麗だ。もっくんは背が小さいからか凄く可愛い。本人はかっこいいと言われたいみたいだが。そしておっくんは頭が本当にいい。隣の席のときは本当に助かった。それだけでは無い。性格も優しい上に顔すらも整っているのだ。こんなのみんな惚れてしまうだろう。実際、あーちゃん(多分)と私は好きだった。
だから、引越しが決まった時、すごく悲しかった。友だちと別れるのは悲しいが、おっくんは別格だ。片想いのまま終わるのはやっぱり悔しい。でも私は告白する勇気もない。普通はこういう時は相手に猛アタックするほうがいいのかもしれないが、私にそんな余裕なかった。しなかったより、できなかった。というのが正しいだろう。まさかの私に対するいじめがはじまったのだ。
はじめに気づいたのは男子トイレにハサミが捨てられていたとある人に伝えられたときだ。今思えばその人がやっていたのかもしれない。ハサミはびしょ濡れにされていた。なんと言っていいか分からなかった。その後、ものが何か細工されることはなかったが、ある日私の中でトラウマになるほどの事件が起きる。それは帰りに友達と一緒に帰っていた時、とある男子が突然私を車の道路側に押してきたのだ。一瞬、いや何日も意味が理解できなかった。最初はわざとでないと信じたかったが確実にわざとだった。わざとでないなら謝るだろう。人が自分のせいで車とぶつかる寸前だったのだから。
もうそんなこともあって恋なんてしている場合では無くなった。でも神様は残酷だった。これで終わりならいっそまだマシだった。でも終わらなかった。次はクラス内でいじめがあるとか先生が授業中に言い出したのだ。一瞬ドキッとしたが私のことではなかった。先生がいうにはやられているのは静かなクラス女の子ということ。それだけなら私は関係ない。でもまさかのまさか先生はその子をいじめているのが私を含めた15人くらいだというのだ。もちろん私はいじめてなどおらず、なんならいじめられている。そのいじめられたらしい子も私にいじめられてないと言っているのに。
先生は親に連絡した。虐めていると。当然親は信じて私に怒った。そして謝罪の手紙を書かせた。虐めてないのに何を書けというのだ。でも親に道路に突き飛ばされた話やハサミをトイレに捨てられたことも会えなかった。それならいっそいじめたことにした方が楽かと思った。進路指導室にも何度も呼ばれたが私は完璧には否定しなかった。そんな気力はどこにも残っていなかった。ある朝お母さんに起こされた。また説教かと思ったが、まさかのまさか謝罪だった。お母さんは先生に私はやっていないと言いにいくことにしたそうだ。でも突然どうしたの?と思い、聞いていると私と一緒にいじめた、という冤罪をかけられた友達の親がわたしの母にあなたの娘さんもやっていないらしいわよ、と伝えに来たそうだ。
それからは一気にもとの生活に戻った。いじめもその頃はほとんど消えていたが気力はすっかりなくなっており、相変わらずおっくんへの猛アタックをする気にはなれなかった。(好きではあったのだが。)
そしてとうとうやってきた肌寒い季節。小学2年生の私には濃密な一年だった。もうさすがに引越しを隠すことはできず、先生からみんなへの話が今日あった。みんないつもと変わらず接してくれたがそれはそれで私がいなくても、この世から消えてしまってもいいということの表れのように感じて泣きたくなる。でもそんなの気にしないようなふりをして過ごした。
そんなこんなしているとあとこのクラスで過ごすのもさいごとなる日が来てしまった。クラスの人たちからは紙に書いたメッセージを貰った。お礼にお母さんが買ってきてくれた鉛筆をみんなに配り、お別れの言葉を伝えた。みんな仲が良かった子は泣いてくれた。それだけで少し心が軽くなった気がした。
3年生からは予定通り転校し、新しい友だちを作り、平穏に過ごしていると、あっという間に中学生になり、高校受験をし、合格できたので、第一志望の所に春から入学することとなった。
この時、私は小学2年生のときのほとんど一目惚れにも近い、軽い気持ちでした初恋なんてすっかり忘れていた。
高校に入学するための準備をしていた時、同じ高校に小学2年生の時まで一緒の小学校だった子が2人、入学することを知らされた。その2人は仲が良かったみなちゃんっていうかわいらしい女の子と、おっくんだった。おっくんのことなんてすっかり忘れていた私はびっくりした。といっても完全に忘れてはいなかった。中学では部活が同じだったため、中学が違っても試合で見かけることはあったのだ。でも向こうが覚えているか不安でいつも話しかけずに終わっていた。
なんとなく複雑な気持ちではあるが自分の初恋の人でもあるので、嬉しかった。すると心は複雑そうに見えて単純なのか、入学までの春休みはおっくんのことしか考えてなかった。小学校で青春できなかった分、高校では思いっきり青春とかできるのではないか、と考えた。もしかしたら向こうも覚えててくれてるかも、とか浮かれて、妄想していた。部活も一緒になればワンチャン初恋が叶うかも⁈とかそれってもし本当なら小説の主人公じゃない?とか本気で思っていた。
でもやっぱり神さまは私に対して残酷だった。
まだ話しかけれなかったーとか振られたーならまだマシだ。実は入学式の後、教室に移動したらおっくんがいたのだ。言い訳になるが、春休みから恋焦がれていた人とおなじクラスになっちゃったら誰でもテンションが上がってしまうだろう。そしてテンションが上がるだけならまだしも私は話しかけちゃったのだ。誰でも話しかけるという性格がここでこんなにも悪い方向に影響を及ぼすとは思わなかった。そしてはじめてこの性格を恨んだ。突然知らない人に声をかけられたおっくんは
「誰お前。」
といったのだ普通この反応になるだろう。でも忘れられていたという現実を私は信じたくなかった。だから粘った。
「〇〇小にいたよね?私もいたんだけど、、」
と言ってみた。さすがに思い出してくれるだろうとおもったのだが、次におっくんはこう放った。
「ごめん。覚えてない。誰?」
流石おっくん。きもがらないでくれた。言い方が優しいからダメージも少ない。
そんなこと考えていたがそんな場合ではない。どんなにおっくんが優しくても、わたしは目立っていた。確かに入学式なんてみんな静かなはずなのに私だけ大声で話しかけに行ったらそりゃあ目立つだろう。しかもそれだけじゃない。覚えられてなかったのだ。側から見ると私痛いやつでは?と自覚して、顔が真っ赤になった。
もう嫌。泣きたい。やっぱり恋なんて小説の主人公しかかなわないんだ。
わたしは主人公じゃない。ただの主人公を引き立てるために生まれた、序盤で出番がなくなっちゃうモブキャラだった。
苦労はヒロイン級なのに幸せはモブレベルなんてなんて神様はひどいのだろう。
今だから言える。私は悪い子だから。
神様なんて信じたらいけない。
私は学校にいた。いつもなんとなく生きて、なんともない平凡な日を送っている。これからもそうなるとおもっていたのに。
何が間違っていたの?
小学2年生の夏休み前。友だちとあと少しの時間を過ごしていた。というのも私は来年引っ越すのだ。友だちは知らないが。普通はいうのだろうが私は言わなかった。なんでかは私もわからない。言ってはいけないような気がしたのだ。私はいつも通りに友達の菜緒ちゃんと学校へ向かう。これももうあと少しなのかと思うと小学2年生の私もさすがに時間の大切さを実感した。
学校に着いた。菜緒ちゃんとはクラスが違うので靴箱でお別れする。3組なので廊下で1、2組の前を通るとまっくんが出てきた。まっくんはいつも私をからかうためだけに2組から毎日出てくる。私の名前が山本なので山芋里芋さつまいもー!なんて言ってくる。私の名前は今じゃ無いっつうの。クラスも一緒になったことないし、幼稚園も違うから今考えればなんでこんなにからかわれたか不思議だが。
教室に入るとあーちゃんともっくんとおっくんが挨拶してくれた。いつも仲良くしてくれる友だち。あーちゃんは足が速くて憧れだった。あのロングのサラサラヘアは手入れが行き届いていて綺麗だ。もっくんは背が小さいからか凄く可愛い。本人はかっこいいと言われたいみたいだが。そしておっくんは頭が本当にいい。隣の席のときは本当に助かった。それだけでは無い。性格も優しい上に顔すらも整っているのだ。こんなのみんな惚れてしまうだろう。実際、あーちゃん(多分)と私は好きだった。
だから、引越しが決まった時、すごく悲しかった。友だちと別れるのは悲しいが、おっくんは別格だ。片想いのまま終わるのはやっぱり悔しい。でも私は告白する勇気もない。普通はこういう時は相手に猛アタックするほうがいいのかもしれないが、私にそんな余裕なかった。しなかったより、できなかった。というのが正しいだろう。まさかの私に対するいじめがはじまったのだ。
はじめに気づいたのは男子トイレにハサミが捨てられていたとある人に伝えられたときだ。今思えばその人がやっていたのかもしれない。ハサミはびしょ濡れにされていた。なんと言っていいか分からなかった。その後、ものが何か細工されることはなかったが、ある日私の中でトラウマになるほどの事件が起きる。それは帰りに友達と一緒に帰っていた時、とある男子が突然私を車の道路側に押してきたのだ。一瞬、いや何日も意味が理解できなかった。最初はわざとでないと信じたかったが確実にわざとだった。わざとでないなら謝るだろう。人が自分のせいで車とぶつかる寸前だったのだから。
もうそんなこともあって恋なんてしている場合では無くなった。でも神様は残酷だった。これで終わりならいっそまだマシだった。でも終わらなかった。次はクラス内でいじめがあるとか先生が授業中に言い出したのだ。一瞬ドキッとしたが私のことではなかった。先生がいうにはやられているのは静かなクラス女の子ということ。それだけなら私は関係ない。でもまさかのまさか先生はその子をいじめているのが私を含めた15人くらいだというのだ。もちろん私はいじめてなどおらず、なんならいじめられている。そのいじめられたらしい子も私にいじめられてないと言っているのに。
先生は親に連絡した。虐めていると。当然親は信じて私に怒った。そして謝罪の手紙を書かせた。虐めてないのに何を書けというのだ。でも親に道路に突き飛ばされた話やハサミをトイレに捨てられたことも会えなかった。それならいっそいじめたことにした方が楽かと思った。進路指導室にも何度も呼ばれたが私は完璧には否定しなかった。そんな気力はどこにも残っていなかった。ある朝お母さんに起こされた。また説教かと思ったが、まさかのまさか謝罪だった。お母さんは先生に私はやっていないと言いにいくことにしたそうだ。でも突然どうしたの?と思い、聞いていると私と一緒にいじめた、という冤罪をかけられた友達の親がわたしの母にあなたの娘さんもやっていないらしいわよ、と伝えに来たそうだ。
それからは一気にもとの生活に戻った。いじめもその頃はほとんど消えていたが気力はすっかりなくなっており、相変わらずおっくんへの猛アタックをする気にはなれなかった。(好きではあったのだが。)
そしてとうとうやってきた肌寒い季節。小学2年生の私には濃密な一年だった。もうさすがに引越しを隠すことはできず、先生からみんなへの話が今日あった。みんないつもと変わらず接してくれたがそれはそれで私がいなくても、この世から消えてしまってもいいということの表れのように感じて泣きたくなる。でもそんなの気にしないようなふりをして過ごした。
そんなこんなしているとあとこのクラスで過ごすのもさいごとなる日が来てしまった。クラスの人たちからは紙に書いたメッセージを貰った。お礼にお母さんが買ってきてくれた鉛筆をみんなに配り、お別れの言葉を伝えた。みんな仲が良かった子は泣いてくれた。それだけで少し心が軽くなった気がした。
3年生からは予定通り転校し、新しい友だちを作り、平穏に過ごしていると、あっという間に中学生になり、高校受験をし、合格できたので、第一志望の所に春から入学することとなった。
この時、私は小学2年生のときのほとんど一目惚れにも近い、軽い気持ちでした初恋なんてすっかり忘れていた。
高校に入学するための準備をしていた時、同じ高校に小学2年生の時まで一緒の小学校だった子が2人、入学することを知らされた。その2人は仲が良かったみなちゃんっていうかわいらしい女の子と、おっくんだった。おっくんのことなんてすっかり忘れていた私はびっくりした。といっても完全に忘れてはいなかった。中学では部活が同じだったため、中学が違っても試合で見かけることはあったのだ。でも向こうが覚えているか不安でいつも話しかけずに終わっていた。
なんとなく複雑な気持ちではあるが自分の初恋の人でもあるので、嬉しかった。すると心は複雑そうに見えて単純なのか、入学までの春休みはおっくんのことしか考えてなかった。小学校で青春できなかった分、高校では思いっきり青春とかできるのではないか、と考えた。もしかしたら向こうも覚えててくれてるかも、とか浮かれて、妄想していた。部活も一緒になればワンチャン初恋が叶うかも⁈とかそれってもし本当なら小説の主人公じゃない?とか本気で思っていた。
でもやっぱり神さまは私に対して残酷だった。
まだ話しかけれなかったーとか振られたーならまだマシだ。実は入学式の後、教室に移動したらおっくんがいたのだ。言い訳になるが、春休みから恋焦がれていた人とおなじクラスになっちゃったら誰でもテンションが上がってしまうだろう。そしてテンションが上がるだけならまだしも私は話しかけちゃったのだ。誰でも話しかけるという性格がここでこんなにも悪い方向に影響を及ぼすとは思わなかった。そしてはじめてこの性格を恨んだ。突然知らない人に声をかけられたおっくんは
「誰お前。」
といったのだ普通この反応になるだろう。でも忘れられていたという現実を私は信じたくなかった。だから粘った。
「〇〇小にいたよね?私もいたんだけど、、」
と言ってみた。さすがに思い出してくれるだろうとおもったのだが、次におっくんはこう放った。
「ごめん。覚えてない。誰?」
流石おっくん。きもがらないでくれた。言い方が優しいからダメージも少ない。
そんなこと考えていたがそんな場合ではない。どんなにおっくんが優しくても、わたしは目立っていた。確かに入学式なんてみんな静かなはずなのに私だけ大声で話しかけに行ったらそりゃあ目立つだろう。しかもそれだけじゃない。覚えられてなかったのだ。側から見ると私痛いやつでは?と自覚して、顔が真っ赤になった。
もう嫌。泣きたい。やっぱり恋なんて小説の主人公しかかなわないんだ。
わたしは主人公じゃない。ただの主人公を引き立てるために生まれた、序盤で出番がなくなっちゃうモブキャラだった。
苦労はヒロイン級なのに幸せはモブレベルなんてなんて神様はひどいのだろう。
今だから言える。私は悪い子だから。
神様なんて信じたらいけない。