別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 魔王ロレイユの記憶で見た勇者ヴェガエルが目の前に立っており、マルクエンは驚く。

「あなたは!!」

 ヴェガエルは笑顔でマルクエンとラミッタを見た。

「よう、現代の勇者さん! 俺の過去は知っているみたいだから話は早いな?」

 ヴェガエルは剣の切っ先をマルクエンに向ける。

 マルクエンは思わずヴェガエルに尋ねた。

「あなたは勇者でしょう!? 魔王の味方など……」

 そう言われ、ヴェガエルは剣を持たない左手で、指を三つ立てて話始める。

「理由は三つある。まず第一に俺は今、コイツの魔力で動いていて逆らえねぇ」

 ヴェガエルは親指でロレイユを指し、ニシシと笑う。

「二つ目は、俺はもう死んだ。勇者でもなんでもねぇ。しがらみが無いならば、コイツの味方をしたい」

 ロレイユは驚いた目でヴェガエルを見た。

「そして、最後に。アンタ達と戦ってみてぇ」

 ラミッタは剣を構えてマルクエンに言う。

「お相手はやる気満々よ」

「戦うしか……。ないか」

 マルクエンも剣を抜いて集中し、青いオーラを身に纏った。

 それを見たヴェガエルは笑う。

「お、それじゃやりますかい」

 ヴェガエルは弾けたようにマルクエンに向かい、大剣を叩きつける。

 凄まじい音が鳴り響くが、マルクエンが体勢を崩すことはない。

 楽しそうにヴェガエルが言う。

「ははっ、やっぱやるね」

 マルクエンは力いっぱい剣を振り、ヴェガエルを押し払った。

 魔王ロレイユはラミッタに向かい言う。

「貴様は私が片づけてくれよう」

 ラミッタは軽く笑って言葉を返す。

「えぇ、この間のお礼をしなくっちゃね」

 互いに地上から低めに空を飛び、火、雷、氷の魔法の応酬が始まった。

 魔法で生まれた煙幕が晴れると、ロレイユは光線を放ってくる。

 ラミッタは集中し、相手の動きを見ながら躱す。

 マルクエンはそんな戦いを横目で見ながら、目の前のヴェガエルと戦う。

 そんなマルクエンを見て、ヴェガエルは何度も剣を叩きつけた。

「おいおい、よそ見する余裕があるなんて自信あるみたいだな」

「失礼。あなた相手では、そんな余裕は無さそうだ」

 ヴェガエルは剣を教わった事が無い。すべて実戦と経験で学んだ。

 一方のマルクエンは、実戦経験も豊富だが、戦いの基本は学んだものだった。

 その差が戦いに現れる。

 ヴェガエルは足元を蹴ってマルクエンに砂と小石を浴びせた。

 彼の馬鹿力で蹴ったので、アーマーで守られていない顔を切り裂く。

 マルクエンはヴェガエルを少し睨みつける。

「お、まさか卑怯だなんて言うんじゃないだろうな?」

「まさか、殺し合いに卑怯も何もないでしょう?」

「はっはっは、良いね。現代の勇者! 気に入ったぜ!」

 マルクエンも隠していた奥の手を今、使うべきだと思った。

 回転しながら横なぎに剣を振るうと、剣の軌道が光となって飛ぶ。

 ヴェガエルは流石に焦ったと同時に、飛びのいて躱した。

 マルクエンは二撃三撃と光の刃を飛ばす。

「今の不意打ちには自信があったんですがね」

 マルクエンの言葉に、ヴェガエルがニコニコ笑いながら返した。

「なんだ、アンタそんな事もできたのか」

 マルクエンも笑っていた。

「卑怯だなんて言いませんよね?」

 そう言われ、ヴェガエルは剣を構え直した。

「上等!!」