マルクエンとラミッタは城の一室にて、急いで出発の準備をしていた。
「ラミッタ、入るぞ」
部屋に女性の声が響く。今や聖女になってしまったスフィンだ。チターの冒険者ギルドマスターでもあるマッサも居る。
「ラミッタ。遂に魔王を追い詰めるようだな」
スフィンはラミッタを見据えて言った。
対するラミッタは、浮かない顔をして返事をする。
「はい……」
「いいかラミッタ。貴様の使命は魔王を倒し、元の。ルーサのある世界へ戻る事だ」
「はっ、承知しております!」
姿勢を正し、声を張るラミッタ。その隣ではマルクエンも複雑そうな表情で立っていた。
「万全でなければならないだろう、傷を今のうち治してやる。イーヌの騎士。貴様にも戦ってもらわねばならん。今だけは傷を治してやろう」
マルクエンはスフィンに少しだけ笑顔を向けて言う。
「スフィン将軍……。感謝致します」
さっと治療を終えて、スフィンは話始める。
「私も同行したい所だが。正直、魔王相手では今の私では足手まといだろうな……」
じっと見守っていたマッサはスフィン将軍に話しかける。
「スフィンさん。あなたを待つ怪我人が大勢います。ここはマルクエンさんと、ラミッタさんに任せましょうや!」
「……。あぁ」
「本当は俺もチターが気になるけど、連絡石でチターから人は避難し始めている。今はこの街で出来ることをしますわ」
そうだ、空を飛び、地を風のように駆け抜けられる二人で魔王を追うのだ。
戦力は勇者クラスでなければいくら居ても無駄だろうとの判断である。
それに、魔物の襲撃も、各地にまた来るかも分からない。
マルクエンは軽く自分の胸を叩いて言った。
「任せてください」
王都の門、数多くの人々に見送られ、マルクエンとラミッタは立つ。
ラミッタは空を飛び、マルクエンは地を駆ける。
聖域であるチターの街まで二日と少しで着くであろう。
休憩を挟みつつ、夜通し走り、朝になり、また夜が来る。
明日には到着してしまう。
「宿敵、今日は休みましょう」
「……。そうだな」
マルクエンとラミッタは、ほとんど会話も無くチターを目指していた。
「明日、いよいよ魔王との最終決戦って感じね」
「そうだな」
マルクエンは心ここにあらずといった感じだ。
「何よ、ボーっとして。そんなんじゃ魔王に殺されるわよ?」
「ラミッタは……」
マルクエンはそこでいったん区切り、続けて言う。
「私が殺されたら悲しいか?」
思いがけない言葉に、ラミッタも。言ったマルクエンも驚いていた。
「な、なに言ってんのよ」
「いや、魔王を倒したら元の世界に戻るんだろ? 敵である俺がいない方が良いんじゃないか?」
ラミッタは弱気になっているマルクエンの頭を小突いた。
「今は共闘よ。死んだら許さないわ」
「ははっ、そうか……」
マルクエンは笑った後に、もう一度弱音を吐く。
「実はな……。私は、魔王を倒したくないんだ」
「は?」
ラミッタはマルクエンの言葉に耳を疑う。
「私はこの世界に来て。この世界が好きになった。今はこの世界で、このまま生きていても良いかもしれないと思っている」
「宿敵……」
「もちろん、この世界が好きだから、この世界を守るために魔王を倒さなくちゃいけない。でも、でも倒したら!!」
マルクエンは叫ぶように言った。
「この世界とお別れだ!! この世界の人とも、そして……。ラミッタ、お前とも……」
ラミッタはマルクエンの隣に座る。
「私も、この世界が好きよ」
マルクエンは隣に座るラミッタの顔を見た。
優し気で、寂しげな顔をしている。
「もしも、もしもだが、もしもだ、元の世界に戻ってしまったら!!!」
マルクエンは立ち上がってラミッタに言う。
「私と、逃げないか? 二人で!! 遠くへ!!!」
「ラミッタ、入るぞ」
部屋に女性の声が響く。今や聖女になってしまったスフィンだ。チターの冒険者ギルドマスターでもあるマッサも居る。
「ラミッタ。遂に魔王を追い詰めるようだな」
スフィンはラミッタを見据えて言った。
対するラミッタは、浮かない顔をして返事をする。
「はい……」
「いいかラミッタ。貴様の使命は魔王を倒し、元の。ルーサのある世界へ戻る事だ」
「はっ、承知しております!」
姿勢を正し、声を張るラミッタ。その隣ではマルクエンも複雑そうな表情で立っていた。
「万全でなければならないだろう、傷を今のうち治してやる。イーヌの騎士。貴様にも戦ってもらわねばならん。今だけは傷を治してやろう」
マルクエンはスフィンに少しだけ笑顔を向けて言う。
「スフィン将軍……。感謝致します」
さっと治療を終えて、スフィンは話始める。
「私も同行したい所だが。正直、魔王相手では今の私では足手まといだろうな……」
じっと見守っていたマッサはスフィン将軍に話しかける。
「スフィンさん。あなたを待つ怪我人が大勢います。ここはマルクエンさんと、ラミッタさんに任せましょうや!」
「……。あぁ」
「本当は俺もチターが気になるけど、連絡石でチターから人は避難し始めている。今はこの街で出来ることをしますわ」
そうだ、空を飛び、地を風のように駆け抜けられる二人で魔王を追うのだ。
戦力は勇者クラスでなければいくら居ても無駄だろうとの判断である。
それに、魔物の襲撃も、各地にまた来るかも分からない。
マルクエンは軽く自分の胸を叩いて言った。
「任せてください」
王都の門、数多くの人々に見送られ、マルクエンとラミッタは立つ。
ラミッタは空を飛び、マルクエンは地を駆ける。
聖域であるチターの街まで二日と少しで着くであろう。
休憩を挟みつつ、夜通し走り、朝になり、また夜が来る。
明日には到着してしまう。
「宿敵、今日は休みましょう」
「……。そうだな」
マルクエンとラミッタは、ほとんど会話も無くチターを目指していた。
「明日、いよいよ魔王との最終決戦って感じね」
「そうだな」
マルクエンは心ここにあらずといった感じだ。
「何よ、ボーっとして。そんなんじゃ魔王に殺されるわよ?」
「ラミッタは……」
マルクエンはそこでいったん区切り、続けて言う。
「私が殺されたら悲しいか?」
思いがけない言葉に、ラミッタも。言ったマルクエンも驚いていた。
「な、なに言ってんのよ」
「いや、魔王を倒したら元の世界に戻るんだろ? 敵である俺がいない方が良いんじゃないか?」
ラミッタは弱気になっているマルクエンの頭を小突いた。
「今は共闘よ。死んだら許さないわ」
「ははっ、そうか……」
マルクエンは笑った後に、もう一度弱音を吐く。
「実はな……。私は、魔王を倒したくないんだ」
「は?」
ラミッタはマルクエンの言葉に耳を疑う。
「私はこの世界に来て。この世界が好きになった。今はこの世界で、このまま生きていても良いかもしれないと思っている」
「宿敵……」
「もちろん、この世界が好きだから、この世界を守るために魔王を倒さなくちゃいけない。でも、でも倒したら!!」
マルクエンは叫ぶように言った。
「この世界とお別れだ!! この世界の人とも、そして……。ラミッタ、お前とも……」
ラミッタはマルクエンの隣に座る。
「私も、この世界が好きよ」
マルクエンは隣に座るラミッタの顔を見た。
優し気で、寂しげな顔をしている。
「もしも、もしもだが、もしもだ、元の世界に戻ってしまったら!!!」
マルクエンは立ち上がってラミッタに言う。
「私と、逃げないか? 二人で!! 遠くへ!!!」



