別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 ロレイユから飴の感想を聞いたヴェガエルは笑う。

「そりゃ良かった」

 飴を食べ終え、二人は街を歩く。

 ヴェガエルは旅に必要な品をしこたま買う。

 そして、疲れたので宿屋を取った。

 部屋でロレイユはヴェガエルに尋ねる。

「貴様、この街で泊るのか?」

 ヴェガエルは荷物を下ろして返事した。

「最期の人間らしい生活だぜ? それぐらい許してくれよぉ」

 ロレイユは、ため息を付いて背を向ける。

「冥途の土産に許してやる」

「おー、お優しいコト! この宿は風呂もあるんで、まぁ、明日までゆっくり過ごしましょうや」

 ヴェガエルは早速風呂に入り、疲れと汚れを落とす。

 すっかりスッキリとして、湯を上がると、休憩所にはロレイユがいた。

「なんだ、アンタも入ってたのか」

 少し顔が赤いロレイユは相変わらずのしかめっ面でヴェガエルを見る。

「他にやる事も無かったからな」

 にひひとヴェガエルは笑い、そうだと思い出した。

「それじゃ、ちょっと待っててくれよ。良いもの持ってきてやるから!」

 そう言ってどこかへ行ったヴェガエルだったが、すぐに牛乳を片手に戻ってくる。

「やっぱ風呂上りって言ったらこれでしょ!」

 ロレイユは訝し気にヴェガエルの手に握られている物を見た。

「牛の乳か?」

 ヴェガエルは「そうそう」と頷いて続けて言う。

「大丈夫、毒なんて入ってないから!」

 ロレイユは手をゆっくり伸ばして一本受け取る。

「貴様がそんなつまらん事をするとは思っとらん」

 ヴェガエルはまたもニッと笑った。

「信用されているみたいで、嬉しいわぁ」

 牛乳を飲みながらロレイユは言う。

「そもそも、人間の毒など私には効かん」

 ヴェガエルは頭を掻きながら苦笑いした。

「まぁ、それもそうか……」

 ロレイユは薄紅色の唇を牛乳の瓶から離し、ふぅっと一息つく。

「まぁ、普通だな」

 ヴェガエルはハハハと笑って自身も牛乳を飲んだ。




 夜になり、食事の時間が近付いてきた。

 ヴェガエルはロレイユの部屋をノックする。

「おーい、食事だぞー」

 部屋のノブがガチャリと開いて、白いローブを来た銀髪美人のおでましだ。

「あぁ」

 短く返事をし、ロレイユはヴェガエルと共に食堂へ向かう。

「ビュッフェ形式なんで、まぁ好きなモン取って食べてくれよ!」

 かなり良い宿に泊まったので、豪勢な料理が並んでいる。

 ロレイユはステーキを三枚も取って席に着いた。

 それを見たヴェガエルは、魔王のイメージにピッタリだなと思う。

「おぉ、肉食系」

 ヴェガエルもステーキを一枚と、パンにコーンスープを取り、ロレイユの隣で食事を始めた。