別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 魔王ロレイユは待っていた。

 二時間は待った。だが、一向に勇者ヴェガエルは帰ってこない。

 怖気づいて逃げたかと思ったその時、ひょっこりと顔を表した。

「お待たせー」

 ロレイユは恐ろしい顔でヴェガエルへ言う。

「貴様、遅いぞ!!」

 ヴェガエルは悪びれる様子も無く、笑う。

「いやー、魔王とはいえ美人に待たれるのは気分が良いね! ちょっと腹減っちゃって飯も食ってたわー」

 その言葉を聞き、わなわなと震え出すロレイユ。

「飯……。飯だと……?」

 怒りのままに光線を放つが、ヴェガエルはさっと避けた。

「うぉっ、あぶなっ」

 そのまま剣を引き抜いて、ヴェガエルはロレイユと対峙する。

「まぁ、安心しなって。俺は逃げないから。さぁ、やり合おうか!」

 ヴェガエルが大剣を叩き付け、ロレイユは魔法や光線を出し続け、城の最上階はメチャクチャになっていく。

「ハハハ、お部屋がメチャクチャだな!」

 そんな時、部屋が崩れ始めた。

 それどころか、城自体が崩れ始めている。ロレイユは宙に浮かび続けるが、ヴェガエルは下に下にと落下していく。

「うおっ、やべぇ!!」

 瞬間、ロレイユが急降下し、とどめを刺されると思ったヴェガエルだったが、意外にも手を掴まれ、宙に浮く。

「な、なんのつもりだ!?」

 流石に動揺するヴェガエルだったが、ロレイユはニヤリと笑う。

「私は貴様を気に入った。こんな形で失うのは惜しい。もっと殺し合おうぞ!」

 その言葉を聞いたヴェガエルも、ニヤリと笑う。

「あぁ! 下に降りたら首を刎ねてやるよ!」

 ゆっくりと降りていく二人、暇なヴェガエルはロレイユに言う。

「ところで、ロレイユ」

 ロレイユは冷たく返した。

「我が名を気安く呼ぶな」

 めげずにヴェガエルは言い続けた。

「アンタの手、すべすべして柔らかくて魔王らしくないよな」

 ロレイユはムッとして言い返す。

「なんだ、魔王失格とでも言うのか?」

 ヴェガエルはいやいやと首を振る。

「そうじゃなくて、魔王ってもっと鱗生えているとか、ガッチガチみたいな感じかと思ってさ」

 ロレイユからの返事は無く、下層へ降りていく。

「それに、アンタ美人だしな。魔王じゃなきゃ結婚したいぐらいだ」

 ロレイユは一瞬動揺し、手を放してしまった。

「のわー!!!」

 ヴェガエルは、なすすべなく落下し、床に激突する。そのまま気を失ってしまった。