別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 ラミッタはまず、カオリーに口止めをする。

「カオリー、ここで見たこと、起きたことは誰にも言わないでね」

 マルクエンも続けて言った。

「あぁ、カオリー。ここでの事は内緒だ」

 すると、カオリーは照れながら言う。

「ダンナに言われたんじゃ仕方ねぇや。何があったとしても内緒にする」

 ムスッとした表情をしたラミッタだったが、すぐに本題に入った。

「あの鉱石に閉じ込められていた奴。ミネスって魔人は魔王ロレイユって言っていたけど……」

 マルクエンが頷く。

「あぁ、どうやら魔王ロレイユとやらが復活を……」

 そこでラミッタは首を横に振る。

「いえ、それはミネスが勝手に言っていた事よ。嘘って可能性も全然あるわ」

 ラミッタの言葉にマルクエンは考え、少し冷静になる。

「確かに……。魔王が復活したと嘘をついている可能性はあるな……」

 そこでルナが話し始める。

「ラミッタさんの意見は最もですが……」

 ラミッタは目を閉じてふぅっと息を吐く。

「ただ、一つ言えることはあるわ。アイツ、メチャクチャ強いわ」

 その言葉に、皆は静かに頷いた。ラミッタが続ける。

「ともかく、村へ戻ろうかしら。王都への連絡もあるし」

 そこでルナが話す。

「あの村にも中継の連絡石がありますので、村で預かった私の連絡石から信号を打っておきます。村中は大騒ぎになるでしょうが……」

 連絡石は、魔力を込めると対の連絡石が光る魔法の石だ。

 だが、魔力の届く範囲は半径30キロメートルどなので、中継地点は必要であるが、魔力を込めるパターンで信号を送り、どこへでもすぐに連絡ができる優れものである。

 マルクエンは横になるラミッタに屈んで話しかけた。

「ラミッタ、平気か?」

「えぇ、このくらい平気……」

 そう言いかけたが、立ち上がろうとすると、何故か足がふら付くラミッタ。

「ラミッタ! 無理はするな!」

「大丈夫よ、歩けなければ飛ぶわ」

 次に飛ぼうとするが、上手く飛べないみたいだ。

 マルクエンはラミッタに両腕を差し出す。

「ラミッタ、私が運ぼう」

「なっ! しゅ、宿敵に心配されるほど落ちぶれちゃいないわ!!!」

「ラミッタ。私が心配なんだ。頼む」

 マルクエンが真っすぐ見て言うので、ラミッタは顔を逸らしながら言う。

「心配性ね、し、仕方ないわね!!」

「カオリー。荷物をちょっと多めに持ってもらえないか?」

「はいはい、お安い御用で!」

 カオリーはマルクエンの腕に抱かれるラミッタを羨ましそうに見ながら、荷物を背負った。

 ルナは独り言を言いながら連絡石に信号を打つ。

「魔王ロレイユと思わしき者と接敵。その者は逃走。これでいいかな」



 ラミッタをお姫様抱っこしながら歩くマルクエン。ルナとカオリーもその後を続く。

「なぁダンナ。私はこの後、どうすればいい?」

 マルクエンは前を向いたまま返事をする。

「私が村の護衛に推薦しよう。カオリーは弱き人に何かするような人物ではないと信じているからな」

 カオリーは心配そうな顔をしていた。

「そんな事言ったって、許されるのか?」

 ラミッタがそこで言う。

「私達には『勇者の特権』があるわ。緊急事態にはある程度、法を無視できる。あなたをやっつけて、改心させて、魔物や魔人からの護衛として村に置くって事にするわ」

「ダンナァ……。泥棒猫……」

 泥棒猫と言われラミッタはぷんすか怒る。

「誰が泥棒猫よ!!」

 カオリーは胸が一杯になり、泣きそうになるのを抑えた。

「ダンナの信頼を裏切るようなコト、しないで村で待っているから、早めに迎えに来ておくれよ?」