別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 一方で、古の勇者、ヴェガエルが魔王ロレイユを倒したとされる北の聖地『マーピュ』の調査へ出向いていたマルクエン達。

 深夜のお茶会もお開きになり、マルクエンと見張りを交代したラミッタは朝を待った。

 先ほど宿敵が言いかけた言葉が頭の中でぐるぐる回っている。

 ラミッタは思わずそれが口に出てしまった。

「なによ、元の世界に戻れなかったら、その時はって……」

 夜明けの頃に、同行していた魔術師兼考古学者のルナが目を覚まし、ラミッタの元へやってきた。

「す、すみませんラミッタ様! 寝すぎてしまいました! 起こして下されば良かったのに……」

「いや、いいわ。どうせ寝付けなかったしね」

 なんだか浮かない顔をしているラミッタに、ルナは問いかける。

「なんだかラミッタ様、元気ありませんね。どこか具合でも?」

「別に、そんなんじゃない……けど……」

 ラミッタは三角座りをして腕に顔を乗せていた。

「ルナさん。この世界で魔王を倒したら、私達は元の世界に帰っちゃうのかしら」

 その言葉に、笑顔でルナは答える。

「えぇ、伝承通りでしたら!」

「そっか……」

 ラミッタは目を伏せて答える。

 様子がおかしい彼女にルナは尋ねた。

「元の世界、戻りたくないのですか?」

 赤面しながらラミッタは答える。

「……、誰にも内緒にしてくれるかしら?」

 察したルナは笑顔で返事した。

「はい!」

 ラミッタはポツリと話始める。

「正直、私は国に愛着が無かったから、また戦争で死ぬのはごめんだわ」

「そのお気持ちはわかるつもりです」

「それに、あんなに強くなった宿敵と戦うなんてごめんだわ」

 ラミッタはマルクエンが眠っている方を見て言った。

 ルナは頷いて返す。

「勇者の伝承は、あくまで伝承ですから。元の世界に帰るかどうかは、その時になってみないとわかりません」

 ラミッタは「よしっ」と言って立ち上がった。

「まぁ、そうよね。心配しないで、ちゃんと魔王は倒すから!」




「宿敵! 起きなさい!」

 マルクエンはラミッタの声で目を覚ます。もう慣れたものだ。

「んあっ。……あぁ、おはようラミッタ」

 その隣で眠っていた、山賊のカオリーも起きた。

「あー……。朝かい……」

 ラミッタは腰に手を当てたまま二人に言う。

「ほら、早く朝ごはん食べちゃいなさい!」




 朝ごはんと食べた一行は、魔力の発信源を調査しに出発する。

 昼頃には、おおよその位置まで近付く事ができ、そこで昼食を取りながらルナが言った。

「カオリーさん。これ以上は国の機密事項にあたるので、この辺りで一旦お別れです」

「は? 今更なに言ってんだい!? ここは私の庭みたいなモンだよ!? 案内役はいた方がいいぞ?」

 そんな時だった。強大な魔力を感じ取ったラミッタとルナがその方向を見る。

 ルナは思わず大声を上げた。

「今のは!?」

 ラミッタとマルクエンは立ち上がる。

「ラミッタ! 案内を頼む!!」

「えぇ!! こっちよ!!」

 弾けるように走るマルクエンと、空を飛ぶラミッタ。

「あっ! ま、待ってください!!」

 その後をルナが走り。

「ちょ、ちょっと待って!!」

 カオリーも走って追いかけてきた。