別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 マルクエン達が魔力発生源の調査をしている頃、城ではルサークとデルタが心配そうに貴族の少年。シシトを見ていた。

 急に容体が悪化し始めたのだ。

 スパチーが今日もシシトに遊んでほしいとせがんでいる。

「シシトー、けん玉やるぞー」

 だが、シシトは見るからに元気がない。体を起こすのもやっとだ。

「あぁ、スパチーちゃん……」

「シシト、どうしたんだ?」

 そこで、シシトは顔だけをスパチーに向けて言う。

「スパチーちゃん。ごめんね、僕はもうダメそうだ……」

 そんな弱気なシシトを見て、ルサークは声を大きく出す。

「シシト様!! 弱気になられては……。今、医者を呼んできます!」

 思わずシシトは笑う。

「大丈夫です、なんとなくわかるんです。騒がしいより今は皆さんと一緒に居たい……」

 ルサークとデルタは顔を見合わせて、軽く頷いた。

 スパチーは能天気そうに言う。

「シシト、ダメってなんだ?」

「僕はもう死んじゃうかもしれない」

 弱気なシシトの言葉に、スパチーは目を丸くする。

「お前、死ぬのか!? 死んだらどうなるんだ!?」

「それは僕にも分からない……、けど。もう一緒に居られないね……」

 スパチーはようやく事の重大さを理解したようで、焦り始める。

「ダメだぞ!! シシトは私の手下だ! もっと遊ぶんだぞ!!」

「ありがとう、スパチーちゃん……」

 シシトは感謝を述べ始める。

「ルサークさん、デルタさん、スパチーちゃん。本当にありがとう……」

 涙を抑えながらルサークは返した。

「なに言ってんですかい、縁起でもない!」

 デルタも少し取り乱して言う。

「そうですよ! 大丈夫、大丈夫ですから……」

 スパチーも慌てながらなんとか言葉を出す。

「シシトは死なないぞ!! 大丈夫だぞ!!」

 段々と呼吸も苦しそうになるシシト。

「僕、騎士になりたかったんだ。国を守る騎士になって、魔物や魔王を倒す騎士に……」

 ルサークはシシトに顔を近づけて励ます。

「だったら、なおさら弱気になんてなっていられないですよ! ここを乗り越えればきっと……」

 シシトは続ける。

「僕は弱かった。全然ダメだった」

 デルタはその言葉を否定した。

「ダメなんかじゃありません。弱くもありません。病気とこうして戦っているじゃないですか!」

 最後に一つ、言葉を絞り出す。

「スパチーちゃん。遊んでくれてありがとう、一緒に居てくれてありがとう」

 シシトはゆっくりと目を閉じ、半開きのまま固まる。

「シシト? おい、シシト!!」

 スパチーはシシトを揺さぶり、ルサークは部屋を飛び出そうとする。

「い、医者を呼んでくる!!」

 最期にシシトは言えなかったなと思っていた。

 ありがとう、初恋の子、大好きだったよ、と。