別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 夜になり、就寝しようとするが、ここで問題が一つ。

 毛布は三人分しかなく、どうしたものかとマルクエンは悩む。

「私は見張りをしているから、先に寝てくれ。カオリーは私の毛布を使うと良い」

 カオリーはそう言われ、照れだす。

「ダンナの毛布ですかい。嬉しいけど、良かったらダンナ一緒に包まりませんかい?」

 そこにラミッタが文句を垂れる。

「アンタ、さっさと寝なさい!」

 カオリーは「へいへい」と返事をして眠ることにした。



 深夜、マルクエンは星空を眺めていた。

 標高の高い山では、流れ星もよく見える。

 たき火で沸かした茶を飲もうかという時、気配を感じ振り返った。

「おぉ、ラミッタか」

「見張り、交代するわよ」

 なんだか今日はラミッタがいつも以上に素っ気ないなとマルクエンは思う。

「お茶ができたところだ。飲むか?」

「……、うん」

 ラミッタが素直過ぎてなんだか調子が狂うマルクエン。

「星が綺麗だぞ、ラミッタ」

「これから魔王の手掛かりを探すってのに呑気ね」

「ははは……」

 会話が終わり、二人してお茶を飲んだ。

「そういえば、アンタモテモテね」

 マルクエンはお茶を吹き出しそうになる。

「い、いや。そういう訳じゃ……」

「良いじゃない、カオリー。強いし、一途っぽいし」

 うーむとマルクエンは考えた。

「確かにそうだが、今は魔王を倒して元の世界に戻ることが最優先だしな」

「そう」

 短くラミッタは返す。

 そして、そのまま言葉を続けた。

「私は、この世界に居続けてもいいかなって思い始めているわ」

 思いがけない発言に、マルクエンは驚く。

 ラミッタは続けた。

「スフィン将軍に聞かれたら怒られそうだけど、私は国に忠誠なんて無かったから。ただ、戦場で腕試ししながらお金稼げればって」

「そうか……」

 ラミッタは自嘲しながら話す。

「私はたくさんの敵兵の命を奪ったわ。それを忘れて生きていこうなんて虫が良い話だけど。この世界に……、逃げたいって言ったらおかしいかしら?」

「いや、おかしいとは思わないぞ」

 ラミッタはマルクエンを見つめる。

 思わずなんだかドキドキしてしまうマルクエン。

「なんだろ、戦うの疲れちゃったのかしら」

 いつになく弱気なラミッタに、マルクエンも見つめ返して言う。

「もし、もしもだ。元の世界に戻れなかったら、その時はっ……」

「ダンナァ!! なに二人っきりで話してんだい!!」

 起きてやって来たカオリーに言葉は遮られてしまった。

 マルクエンは裏返った声で叫ぶ。

「カオリー!?」

「ダンナ? 浮気かい?」

 その言葉にマルクエンもラミッタも赤面する。

 思わず、ラミッタは言い返した。

「ち、違うから!!」

 マルクエンも続けて言う。

「う、浮気も何も、私は誰とも付き合っていない!!」

 そんなマルクエンをしかめっ面でカオリーは見ていた。