別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 カオリーは鼻をフンッと鳴らし、ラミッタに言う。

「何か問題でもあるのかい?」

 ラミッタは威嚇しながら言い返す。

「問題だらけよ!!」

 カオリーはとぼけた顔をして話した。

「だって、アンタはダンナの彼女でも何でもないんだろう? 関係ないじゃないか」

 ラミッタも熱くなって言葉を投げる。

「私達は勇者!! 変な事している場合じゃないの!!」

 マルクエンも我に返り、カオリーに言った。

「そ、そうだ。この地にも調査に来てだな……」

「釣れないねぇダンナ」

 そこでマルクエンはハッとしてカオリーに尋ねる。

「カオリー? だったか、この辺りで何かおかしな事や気になる事は無かったか?」

 マルクエンに聞かれ、カオリーは腕を組んで考えた。

「変な事かぁー……。最近、魔物が強くなっている気はするけどねぇ……」

 ルナは、もしかしてと口を開く。

「魔物の活性化、かもしれませんね……」

 カオリーはルナとラミッタに視線を移す。

「アンタら何か知っているのかい?」

 ルナはうーんと悩んだ。

「いえ、私達は国の命令で動いています。部外者に話すわけには……」

 カオリーはつまらなそうに腕を後ろで組んだ。

「なんだい、勿体(もったい)ぶっちゃって」

 そこでマルクエンはカオリーに言う。

「詳しいことは話せないが、私達はマーピュを目指しているんだ」

 マーピュと聞いて、カオリーは何かを思い出していた。

「うーんと、マーピュ……。って言うと、(いにしえ)の勇者とやらの聖地だろ? 場所は知ってるぜ!」

 マルクエンは明るい顔になってカオリーに言う。

「その場所を教えてほしい、ここからどの辺りだ?」

「なんだったら、私が案内するよダンナ!」

 そう言われ、マルクエンはルナとラミッタの方を見る。

 ルナは渋っていたが。

「部外者の同行は……」

 ラミッタは意外にも。

「まぁ、案内してもらえるならいいわ」

 そう言った。マルクエンも頷き、ルナはため息を吐いた。

「勇者様がそう(おっしゃ)るなら……」

 カオリーはにししと笑い。大斧を肩に担いだ。

「決まりだな! ダンナ! と、お前ら、よろしくな!」

 ルナがその言葉遣いを咎める。

「ちょっと、勇者様に失礼ですよ!」

「んあ? 細けぇコトはいいだろ!」

 ルナはもうどうにでもなれと思っていた。

「私はルナです。こちらはラミッタ様。名前は憶えて下さい」

「はいはい、わかったわかった」

 カオリーは適当に言った後に歩き始める。

「あの場所にはこっちから行った方が近いし、魔物も少ねぇんだ」

 案内を始めるカオリーにマルクエンは笑顔で言う。

「そうなのか? カオリー助かるよ」

「あぁ、ダンナの為だったら何でもするぜ! 何でも、な?」



 しばらく歩くと、道中魔物の襲撃は何度かあったが、マルクエン達の敵ではない。

 マルクエンが斬り伏せ、ラミッタは腕を後ろで組んでつまらなそうにしている。

「やっぱダンナはすげぇや!」

「ははは……」

 すっかり空が赤くなり、そろそろ野宿の準備かと思った時に、カオリーが言った。

「こっちに付いてきてよダンナ! ちょうど良い洞窟があるんだ!」

 ぽっかり穴の空いた場所までやって来て、マルクエンは「おぉ」と声を出す。

 カオリーは自慢げに言った。

「山の天気は変わりやすいからな。この中で泊った方がいい」

「ありがとうカオリー。助かるよ」

 夕日に照らされたカオリーの顔がさらに赤くなる。

「だ、ダンナァ……。照れるからぁ……」

 そこでムスッとしたラミッタがやって来た。

「はいはい、夕飯作るわよ」