別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 考古学者と聞いていたので、マルクエンとラミッタはてっきり高齢の人物が来るかと思っていた。

 しかし、目の前には二十代半ばぐらいの、長い茶髪をサイドテールにした女性。

「初めまして、ルナ・キサラギと申します! 勇者様にお会いできて光栄です!」

 女性は元気いっぱいに挨拶をした。

「ルナさんですか。私はマルクエン・クライスと申します」

「ラミッタ・ピラです」

 握手を求めてくるルナに応じて、マルクエンとラミッタは手を握る。

「彼女は若いですが、考古学と魔術に関しては一流です」

「そんな、シガレー参謀長! 照れますんで!」

 ルナは両手を前に突き出して手をブンブンと振った。

「あ、すみません! 勇者様!! それでは出発前に北の聖地『マーピュ』についてご説明します!」

 先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、真面目な顔をして解説を始めるルナ。

「500年前、勇者『ヴェガエル』が、当時の魔王『ロレイユ』を追い詰めて、そこで打ち倒したと言い伝えられています」

 間を一旦置いて、ルナは話し続ける。

「そう、それが定説と考えられていました」

「っと、言いますと?」

 マルクエンが聞き返すと、ルナは頷く。

「その地の人々が残した記録が発見されまして。公的なものではありませんがね」

 ラミッタは片目を閉じて、尋ねる。

「それで、そこには何が?」

「勇者ヴェガエルは、魔王ロレイユを倒し切れていなかったと」

 その言葉にマルクエンは思考を巡らせた。

「まさか、魔王ロレイユがもしかして、まだ生きているのではないかと?」

 ルナはその言葉に、返答する。

「その可能性は低いと思いますが、魔王ロレイユが何かをその地に残した可能性はあります」

 マルクエンはまた考え、ラミッタが先に質問をした。

「その可能性があるならば、今までの勇者は北の聖地『マーピュ』を調べなかったのかしら?」

 もっともな質問だった。軽く返事をし、ルナは答える。

「マーピュは険しい山脈と荒野で、言ってしまえば陸の孤島です。更に、存在する魔物も強いので、勇者様と言えど危険でした。なので、今まで大規模な調査は行われていませんでした」

 そこまで言った後にルナは続ける。

「最近の魔術の発展により、遠くの魔力も検知できるようになりまして。マーピュで強大な魔力が探知されました」

 マルクエンはそれを踏まえて発言した。

「そこで、今回の調査を?」

「はい。危険な旅になるとは思いますが。大丈夫でしょうか?」

 マルクエンとラミッタは互いの顔を見て頷いた。

 そして、マルクエンが言う。

「えぇ、魔王の手掛かりが掴めるならば。行きましょう」

「流石、勇者様です! そうこなくちゃ!」

 急に明るい声と笑顔でルナは言い始めた。

「いやー、マーピュの調査が出来るなんて、夢のまた夢でしたが、今回やっと! ふふふふ……。うへへへへ」

 急に心配になるような、瞳孔を開いた笑顔になるルナ。

 マルクエンとラミッタは少し引いていたが、シガレーが咳ばらいを一つして言う。

「性格はこうですが、腕は確かですので」