別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

「勇者様!!」

 思わずシシトは様々な感動で胸が熱くなる。

「シシト様、私もよろしいでしょうか?」

 ラミッタもしっかりとシシトの手を握ってくれた。

「勇者様……。勇者様ってやっぱりお優しいのですね……」

「いえ、私がシシト様とご挨拶がしたい。そう思ったからしたのです」

 シシトは年相応の子供の様に目を輝かせていた。

「勇者様!! 勇者様の旅のお話が聞きたいです!! 少しだけお時間良いですか?」

 マルクエンは笑顔で答えた。

「えぇ、もちろん」



 マルクエンとラミッタは、今までの冒険を話せるだけ話してやった。

 シシトが驚いたり、笑ったり、楽しそうに聞くもので、話にも熱が入る。

 1時間は話したろうかというところで、ラミッタは話をおしまいに持って行く。

「とまぁ、こんな所で。そろそろ夕食時なので今日はここまでにしましょうかね」

「勇者様、お忙しいところありがとうございます。僕、楽しかったです!」

 ラミッタも笑顔を向けて言った。

「それは何よりです」

「僕も……」

 最後にポツリとシシトは言葉を零す。

「僕も、冒険者や……。勇者様になるのが夢だったので、お話を聞けただけでも嬉しかったです」

 その言葉を聞いて、マルクエンは少しだけ話を続けた。

「夢は叶うと無責任な事は言えませんが、夢を持つこと、夢を見ることは悪い事ではありません。それに誰にも止められないものです。自分自身にさえも」

「マルクエン様……」

 もう一度、手を握りマルクエンは強く言う。

「シシト様のお体が良くなること、私は信じています」

 そこにラミッタも手を乗せて言った。

「私もですよ」

 シシトは限界に達し、泣いてしまう。

「ゆーしゃ!! シシト泣かしたな!! いじめたな!!」

「イジメてないわよ……」

 マルクエンはスパチーにも言葉を投げた。

「スパチー、シシト様のこと、よろしく頼んだぞ」

「任せろ!! シシトは私の子分だからな!!」

 スパチーの発言に、シシトとマルクエンは笑う。


「失礼します」と名残惜しいが部屋から出るマルクエンとラミッタ。

 見送ってくれたルサークから改めて礼を言われる。

「マルクエン様、ラミッタ様、シシト様を勇気づけてくれてありがとうございます」

 いえいえとマルクエンは手を振る。

「いい子でしたね、シシト様」

「そう、いい子なんですわ……」

 しんみりとするルサークにマルクエンは言った。

「きっと良くなりますよ、きっと」

「えぇ、そうですよね」



 ルサークとも別れ、客室へ向かうマルクエンとラミッタ。

 道中、ふとラミッタが言った。

「あのスパチーってヤツ、変わったわよね」

「あぁ、びっくりしたな」

「アレもヴィシソワの狙いなのかしら」

 ラミッタの言葉に、ふむとマルクエンも考える。

「確かに、あの人の考えることはわからんがな」



 夕食を済ませ、早めに寝るマルクエンとラミッタ。

 翌朝、支度を整え終わる頃に、部屋がノックされた。

「失礼します勇者様!! 軍のシガレー参謀長がお呼びです!」

 来たかとマルクエンとラミッタは頷いて衛兵の後へ付いて行く。

 昨日と同じ会議室に案内され、そこにはシガレーと、女性が一人待っていた。

 シガレーが立ち上がり、マルクエン達に話を始める。

「勇者様、おはようございます。こちらが、件の考古学者兼魔術師です」