別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 城の外に出て、マッサに渡されたメモの場所まで歩く二人。

「っていうか、アンタの好みの子ってどんな感じなのよ」

 ラミッタに聞かれ、マルクエンはうーんと悩む。

「そうだな、家庭的で、そばに居てくれて、支えてくれる人……、だな」

 好みを聞いて、ラミッタはジト目でマルクエンを見た。

「ふーん、なんかありきたりね。面白味が無いわ」

「人の好みに面白いも何もないだろ」

 そう言った後にハハハと笑うマルクエン。

「あとは、一緒に居て楽しい人だな」

「あら、それは私も同じだわ」

 ラミッタはにししと笑う。それで、質問を続けた。

「っていうか。シヘンってアンタの好み通りじゃない?」

「そうか?」

「だって、シヘンは料理が上手くて家庭的でしょ?」

「確かに……」

 共に過ごした時間を思い出し、納得するマルクエン。

「それに、あの子まっすぐだから尽くすタイプよ」

「それは……。あると思うな」

 マルクエンは、うんうんと頷く。

「で、一緒に旅していて楽しかったでしょ?」

「あぁ! それはもちろんだ!」

 マルクエンは、そこだけは迷わずに即答した。

「あら、シヘンと相性良いんじゃない?」

 ラミッタに言われて、マルクエンは悩む。

「まぁ、うーん。確かにシヘンさんは魅力的だ。外見も美しいし、中身も素敵な女性だ」

「そうね」

「だが、なんというか。仲間としては大切だ。しかし……」

「なによ『しかし』って」

 ラミッタはモヤモヤする気持ちを持ちながら、マルクエンに尋ねる。

「なんというか、私がおかしいのだろうか。まだ私は誰かと恋愛をする気持ちにはなれない。それに、魔王を倒してイーヌ王国に戻る身だ」

「堅物ね、アンタも」

 そんな事を言っている内にメモに書かれた建物に着いた。

 見るからに、そこは宿屋だ。

「ほら、入るわよ」

 ラミッタは、入口で足を止めているマルクエンに、さっさと歩けと促す。

 金ぴか鎧の勇者がやって来て、中にいる人々はざわつく。

 緊張する受付嬢と話をしていると、騒ぎを聞いた人の波に見覚えのある顔が現れた。

「マルクエンさん! ラミッタさん!」

「シヘンさん!」

 すっかり元通りになった腕を上げて振っている。

 それだけで、マルクエンはもう充分だった。

 人混みをかき分けて、マルクエンの前まで来るシヘン。

 マルクエンは泣きそうになりながら、シヘンの手を取る。

「シヘンさん。本当に良かった……」

 思いがけないマルクエンの行動に、シヘンは顔を真っ赤にした。

「ま、マルクエンさん!?」

「手はもう痛みませんか? 動かしづらいとかも……」

「は、はい! 聖女様のおかげですっかり!」

 ラミッタは片目を閉じて笑う。

「良かったわね、シヘン」

「ラミッタさんも、ありがとうございます!」

「すんません、通してくださいッスー! あ、マルクエンさん!」

 マルクエンには聞き覚えがある声がもう一つ。

「ケイさん、リッチェさんも!」

「随分と早い再会ですねい」