別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

 マルクエンはシガレーの提案に同意する。

「わかりました。ですが、少々お時間を頂いても大丈夫でしょうか? かつての傷付いた仲間がこの街へ来ているので、一目顔だけでも……」

 その事情に、シガレーは頷いた後に話し始めた。

「かしこまりました。こちらもその考古学者の手配がありますので、今日は城にお泊りになって、明日の朝までお待ちください」

 マルクエンはホッとして言う。

「わかりました」

「それでは、我々も準備に掛かります。これにて失礼します」

 ターバとシガレーは立ち上がり、頭を下げる。

 これにて会議は終わり、ラミッタはうーんと背伸びをした後に立ち上がった。

「終わりね、それじゃ行こうかしら」

 マルクエンも明るい声で同意する。

「あぁ、そうだな」

 部屋を出て、慣れた城の廊下を二人は歩く。

 ラミッタは手を頭の後ろで組んだままマルクエンに言う。

「シヘンとケイに会えるの嬉しいみたいね」

「もちろんだろう。ラミッタもそうだろ?」

「当たり前じゃない」

 そこでラミッタはふと思い出す。

「そういえば、アンタ。シヘンに告白されてたわね」

 一瞬、マルクエンは思考が止まり、シヘンが腕を失ったあの時の光景を思い出した。

 自分の事を好きだと言って気絶してしまったシヘン。

「い、いや、それは!!」

「あら、嫌なの?」

「い、嫌じゃないが!!」

 ラミッタが意地悪そうに笑いながら言う。

「そうよねー、シヘンはいい子だし可愛いし」

「た、確かにそうだが!!」

「はいはい。で、どんな顔してシヘンに会うのよ」

 マルクエンは赤面しながら自分でもどうしようかと考え続ける。

「わ、わからない……」

「なに? アンタ好きな人でもいるの?」

「……わからない」

 マルクエンのモヤモヤする返事にラミッタはムッとしていた。

「なによ、王国騎士様が煮え切らないわね」

「というか、その、恋愛ってした事が無いものでな」

「お見合いはしたって言っていたじゃない」

「よく覚えていたな……」

 はぁっとマルクエンはため息をつく。

「確かに見合いはあるが、その中から人を選ぶものとしか考えていなかったからな」

「好きな人とかいなかったの?」

「訓練に明け暮れていてな。そういうのは無かったな」

 クスクスとラミッタは笑う。

「まさにお坊ちゃんって感じね」

 少しムッとしてマルクエンは聞き返す。

「それじゃラミッタはどうなんだ?」

「私? 私はつまらない男、弱い男に興味が無いの」

 そう言って軽いステップを踏んで数歩前に出るラミッタ。

 そして、くるりと振り返る。

「シヘンは本気よ。ちゃんと答えてあげなさい」

「あぁ……」

 会うのが楽しみだったが、気が重くなってしまったマルクエン。