リッチェの後を付いて街中を歩くマルクエンとラミッタ。
「あ……れ……!? も、もしかして!!」
「ま、マルクエンさん!? ラミッタさんも!?」
曲がり角を進むと、突如として大きな声でマルクエンは名を呼ばれる。
マルクエンとラミッタにはその声に聞き覚えがあった。
そして、思い出すよりも先に、その声の主を見てマルクエンはハッとする。
「シヘンさん!? それに、ケイさんも!!」
もう一度名前を呼んで駆け寄るシヘン。
「マルクエンさん!! ラミッタさんも!!」
ケイも同じように再会を喜び、マルクエンの元へ向かってきたケイであったが、途中でハッとし足を止める。
「え、あっ!? リッチェ姉ぇ!?」
「なっ!? ケイか!?」
リッチェも掴み所がない雰囲気を崩して、思わず大きめの声を上げた。
マルクエンとラミッタ。シヘンの三人は再開を喜ぶ前に、その反応に疑問符が浮かんだ。
誰も何も言い出さないので、マルクエンが尋ねる。
「お知合いですか?」
「いや、知り合いって言うか……。も、もしかしてリッチェ姉ぇマルクエンさんに、つ、捕まったとか!?」
それを聞いてリッチェは笑いだす。
「んなわけあるかい! あっしは今、盗賊稼業からは足を洗って冒険者だよ」
「えぇー!?」
話が見えてこないマルクエン達を横目で見て、リッチェはニヤリと笑う。
「どうやら、積もる話がありそうですねぇ。良い飲み屋を知ってるんですが、行きやせんか?」
リッチェの提案にマルクエンは乗り気だ。
「おぉ!! 良いですね!!」
「良いですねって、アンタ酒飲めないでしょ」
ラミッタに言われるもお構いなしなマルクエン。
「そうと決まれば、善は急げってね。こっちでございやす」
リッチェの後を付いて進むマルクエン。その後ろをラミッタとシヘン、ケイも続いた。
「あなた達、元気にやってた?」
ラミッタに聞かれ、元気よくシヘンは答える。
「はい! おかげさまで!!」
「ラミッタさん勇者になったって聞いたっスよ!! おめでとうございますっス!!!」
「まぁ、大変だったけどね」
苦笑いしながらラミッタが言うと、シヘンもケイも笑っていた。
「それじゃ着きやしたぜ」
リッチェが案内したのは、少し暗めの雰囲気が漂う店だ。
中で飲んでいる男達も、荒くれ物の様な見た目をして、シヘンは少し怯えている。
「見た目はちょっとアレですがね。料理と酒のうまさは保証しやすぜ」
そう言いながらリッチェが店のドアを開けるので、皆はぞろぞろと店内へ入った。
「らっしゃい! って、リッチェか」
「リッチェかとは随分ごあいさつだねぇ」
女店主とリッチェは軽口を叩き合い、その後視線は後ろの人間たちに移る。
「見かけない顔だね。いらっしゃい」
「あぁ、初めまして。私はマルクエン・クライスと申します」
ご丁寧にマルクエンが挨拶をすると、女店主は一瞬の前を置いて、カウンターを叩きながら笑う。
マルクエンの言葉を聞いていた客も大笑いを始めた。
「あはははは!! マルクエンって言ったら、勇者様じゃないか!! 面白い冗談だね!!」
そんな反応を見て、リッチェがニヤリと笑う。
「嘘じゃないって言ったら?」
「はいはい。アンタまで冗談に乗らなくて良いから」
リッチェは横目でラミッタを見てから振り返る。
「ラミッタさん。ちょいと頼まれごとを聞いてくれやせんか?」
「何かしら?」
「ちょいーっと飛んでみてくれやせんかね?」
「はぁ……」
勇者ラミッタの名まで出され、更に笑う女店主だった。
だが、次の瞬間。宙を浮くラミッタを見て顔が笑顔、真顔、驚愕と面白いぐらいに変化していく。
「なっ!? 人が宙に!?」
「これで信じて貰えたかねぇ?」
「い、いやだって、勇者様がこんな店くるわけ……」
非現実的な展開に、女店主はあわあわとしだした。
「そうだ、これがありました!」
マルクエンはカバンから勇者の証明書を取り出し、女店主に見せる。
「あっ、あぁ……。し、失礼しました!! 勇者様!!」
慌てだす女店主にマルクエンは苦笑いしながら言う。
「いえいえ、お構いなく……」
「ってなわけで、勇者様のご案内をー」
リッチェが笑顔で言うと、女店主はカウンターを飛び越えてマルクエン達の元へやって来た。
「は、はいー!! ただいま!!」
マルクエン達はテーブル席に通され、置かれているメニューを見る。
それぞれが飲み物を注文し、女店主は緊張しながら作った酒とマルクエン用のミルクを運んできた。
「お、お待たせしました!!」
リッチェは腕を組んで頷きながら言う。
「うむ、くるしゅうない」
女店主は笑顔で怒りながらリッチェを見る。
「お前、後で覚えておけよ……」
「それじゃ乾杯しやしょうか!!」
皆でグラスを掲げてからそれぞれ一口飲んだ。
「で、お互い色々聞きたいことや積もる話があるでしょうが、誰からいきやすか?」
「はい、ハイっス!!!」
まずはケイが名乗りを上げる。
「何でリッチェ姉ぇフツーに街にいるんスか!?」
「そりゃ、盗賊稼業は辞めたからねぇ」
「いや、辞めたって!?」
リッチェは酒を一口飲んでから、語りだす。
「狙う相手も居なくなっちまったからねぇ。あっしは幸い殺しはやっていなかったから、色々と条件付きで許して貰ったのさ」
「いや、そんな簡単に……」
そんな二人の会話を聞いていたが、ラミッタが口をはさむ。
「二人って、知り合いみたいだけど、どういう関係?」
尋ねられて、黙り込むケイ。リッチェが代わりに口を開く。
「あっしから説明しても良いんですがね。ケイが嫌がらなければですが」
「あ……れ……!? も、もしかして!!」
「ま、マルクエンさん!? ラミッタさんも!?」
曲がり角を進むと、突如として大きな声でマルクエンは名を呼ばれる。
マルクエンとラミッタにはその声に聞き覚えがあった。
そして、思い出すよりも先に、その声の主を見てマルクエンはハッとする。
「シヘンさん!? それに、ケイさんも!!」
もう一度名前を呼んで駆け寄るシヘン。
「マルクエンさん!! ラミッタさんも!!」
ケイも同じように再会を喜び、マルクエンの元へ向かってきたケイであったが、途中でハッとし足を止める。
「え、あっ!? リッチェ姉ぇ!?」
「なっ!? ケイか!?」
リッチェも掴み所がない雰囲気を崩して、思わず大きめの声を上げた。
マルクエンとラミッタ。シヘンの三人は再開を喜ぶ前に、その反応に疑問符が浮かんだ。
誰も何も言い出さないので、マルクエンが尋ねる。
「お知合いですか?」
「いや、知り合いって言うか……。も、もしかしてリッチェ姉ぇマルクエンさんに、つ、捕まったとか!?」
それを聞いてリッチェは笑いだす。
「んなわけあるかい! あっしは今、盗賊稼業からは足を洗って冒険者だよ」
「えぇー!?」
話が見えてこないマルクエン達を横目で見て、リッチェはニヤリと笑う。
「どうやら、積もる話がありそうですねぇ。良い飲み屋を知ってるんですが、行きやせんか?」
リッチェの提案にマルクエンは乗り気だ。
「おぉ!! 良いですね!!」
「良いですねって、アンタ酒飲めないでしょ」
ラミッタに言われるもお構いなしなマルクエン。
「そうと決まれば、善は急げってね。こっちでございやす」
リッチェの後を付いて進むマルクエン。その後ろをラミッタとシヘン、ケイも続いた。
「あなた達、元気にやってた?」
ラミッタに聞かれ、元気よくシヘンは答える。
「はい! おかげさまで!!」
「ラミッタさん勇者になったって聞いたっスよ!! おめでとうございますっス!!!」
「まぁ、大変だったけどね」
苦笑いしながらラミッタが言うと、シヘンもケイも笑っていた。
「それじゃ着きやしたぜ」
リッチェが案内したのは、少し暗めの雰囲気が漂う店だ。
中で飲んでいる男達も、荒くれ物の様な見た目をして、シヘンは少し怯えている。
「見た目はちょっとアレですがね。料理と酒のうまさは保証しやすぜ」
そう言いながらリッチェが店のドアを開けるので、皆はぞろぞろと店内へ入った。
「らっしゃい! って、リッチェか」
「リッチェかとは随分ごあいさつだねぇ」
女店主とリッチェは軽口を叩き合い、その後視線は後ろの人間たちに移る。
「見かけない顔だね。いらっしゃい」
「あぁ、初めまして。私はマルクエン・クライスと申します」
ご丁寧にマルクエンが挨拶をすると、女店主は一瞬の前を置いて、カウンターを叩きながら笑う。
マルクエンの言葉を聞いていた客も大笑いを始めた。
「あはははは!! マルクエンって言ったら、勇者様じゃないか!! 面白い冗談だね!!」
そんな反応を見て、リッチェがニヤリと笑う。
「嘘じゃないって言ったら?」
「はいはい。アンタまで冗談に乗らなくて良いから」
リッチェは横目でラミッタを見てから振り返る。
「ラミッタさん。ちょいと頼まれごとを聞いてくれやせんか?」
「何かしら?」
「ちょいーっと飛んでみてくれやせんかね?」
「はぁ……」
勇者ラミッタの名まで出され、更に笑う女店主だった。
だが、次の瞬間。宙を浮くラミッタを見て顔が笑顔、真顔、驚愕と面白いぐらいに変化していく。
「なっ!? 人が宙に!?」
「これで信じて貰えたかねぇ?」
「い、いやだって、勇者様がこんな店くるわけ……」
非現実的な展開に、女店主はあわあわとしだした。
「そうだ、これがありました!」
マルクエンはカバンから勇者の証明書を取り出し、女店主に見せる。
「あっ、あぁ……。し、失礼しました!! 勇者様!!」
慌てだす女店主にマルクエンは苦笑いしながら言う。
「いえいえ、お構いなく……」
「ってなわけで、勇者様のご案内をー」
リッチェが笑顔で言うと、女店主はカウンターを飛び越えてマルクエン達の元へやって来た。
「は、はいー!! ただいま!!」
マルクエン達はテーブル席に通され、置かれているメニューを見る。
それぞれが飲み物を注文し、女店主は緊張しながら作った酒とマルクエン用のミルクを運んできた。
「お、お待たせしました!!」
リッチェは腕を組んで頷きながら言う。
「うむ、くるしゅうない」
女店主は笑顔で怒りながらリッチェを見る。
「お前、後で覚えておけよ……」
「それじゃ乾杯しやしょうか!!」
皆でグラスを掲げてからそれぞれ一口飲んだ。
「で、お互い色々聞きたいことや積もる話があるでしょうが、誰からいきやすか?」
「はい、ハイっス!!!」
まずはケイが名乗りを上げる。
「何でリッチェ姉ぇフツーに街にいるんスか!?」
「そりゃ、盗賊稼業は辞めたからねぇ」
「いや、辞めたって!?」
リッチェは酒を一口飲んでから、語りだす。
「狙う相手も居なくなっちまったからねぇ。あっしは幸い殺しはやっていなかったから、色々と条件付きで許して貰ったのさ」
「いや、そんな簡単に……」
そんな二人の会話を聞いていたが、ラミッタが口をはさむ。
「二人って、知り合いみたいだけど、どういう関係?」
尋ねられて、黙り込むケイ。リッチェが代わりに口を開く。
「あっしから説明しても良いんですがね。ケイが嫌がらなければですが」


