すっかり雪に埋もれた公園で、冷たいベンチに腰を下ろす二つの影。


「はいっ、なーちゃん!」


弾むような声でふゆ樹が差し出したのは、リボンのかかった長方形の箱。


「ありがとう」


今すぐ開けて欲しい気持ちがだだ漏れのふゆ樹に、ななはミトン型の手袋を取って、膝に乗せた箱のリボンに手をかける。


「メリークリスマス!なーちゃん」


蓋を開けると、綺麗にデコレーションされたケーキが現れた。


「今年はね、ブッシュドノエルにしてみたんだ!大人な味が好みのなーちゃん向けに、ブラックペッパーチョコレートで周りをコーティングしてみました」


お店で売っているのと遜色ないブッシュドノエルに、ななはしばらく呆然と固まる。
切り株を模したケーキの上には、サンタやチョコレートのプレートなどがちょこんと飾られていて、その可愛らしさに思わず頬が緩んだ。

ふゆ樹の「喜んでもらえて良かった」という嬉しそうな声に我に返ると、ななは恥ずかしさに慌てて顔を背ける。
それからおずおずとポケットに手を入れると、中にあったものをグーにした手の平に包んで突き出した。


「私からの……プレゼント」