実際思い当たることは何もなかったので、ふゆ樹はななの背中を見つめてため息をつく。


「早く仲直りしたい気持ちはわかるけど、理由もわかんないのに簡単に謝ったりすんなよ。木並さん、余計に怒るぞ」


それはすでに実証済みなので、ふゆ樹は力なく頷く。


「とりあえずあれだな、お前はその考えなしなところと、能天気なところを直せ」


もはや返す言葉もなく項垂れるふゆ樹の肩を、友人がぽんぽんと優しく叩く。


「お前ら小さい時からずっと一緒の幼馴染みなんだろ?その腐れ縁は簡単には切れないだろうから、落ち着いて何が悪かったかゆっくり考えろ」


優しい言葉と肩を叩く手に、ふゆ樹が何とか顔を上げて笑顔で頷き返すと、友人がにっこり笑って再び教科書に視線を戻した。





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