まるで綿菓子みたいな雪が絶え間なく降り続け、街中を白く染め上げたある日のこと。

いつもは子供達の笑い声で満たされる公園も、今日ばかりはシーンと静まり返っている中、冷たいベンチに並んで腰を下ろす二人。一人は少女で、もう一人は少年。
共に、毛糸の帽子に手袋とマフラー、分厚い上着を着こんでいて、ふっくらころころとしたフォルムをしている。


「これ、なーちゃんに!」


寒さで鼻を赤く染めた少年が、手袋をはめた手で、赤いリボンのかかった正方形の箱を差し出す。


「……ありがとう」

「あけて見て!」


満面の笑顔に促されるまま、少女はミトン型の手袋を取ると、膝に乗せた箱に手をかけ、そうっとリボンを解いて蓋を開ける。


「メリークリスマス!なーちゃん」


中に入っていたのは、少し歪さはあるものの、真っ白い生クリームと赤い苺で綺麗にデコレーションされたホールケーキだった。


「次のクリスマスには、もっとすごいのあげるね。それで、その次のクリスマスは、もっともっとすごいやつあげるから!」


少女は、これでも充分凄いと言えるホールケーキを呆然と見つめ、少年の弾むような声に返事をすることさえ忘れる。
しばらく経って、ハッとして顔を上げると、嬉しそうな満面の笑みがこちらを見つめていた。