「咲華、俺のこと話すんですか」
なんでそんな興味示すの。みんなに冷たいんじゃないの?
「家ではよく話してるよ」
「お母さん、いいってば、先帰ってて」
「まだ恭弥くんと話が…」
「私が話しあるから、お母さん、先帰って」
「あらそう?分かったわ」
なんとかお母さんを家に帰すことに成功した。
「咲華?話ってなに」
そうだった、話しあるからって言っちゃったんだった。
「たいした話じゃないの、いや、大きな話っていうか、大事な話ではあるんだけど、これを言ったら恭弥とはもう会えないかもしれない」
察してよ。早く振ってくれていいよ。
「もう会えないの?」
なんでそんな悲しそうな顔するの。
「うん、もう会えないかも」
なんで黙るの。なんで、なんで??
「恭弥?」
恭弥、なんで下向くの。
顔、見せてよ。
私はそっと、恭弥の左頬に自分の手を添えた。
すると恭弥は、私の手の上に手を重ねてこう言った。
「俺は、これからも咲華の隣りにいたいと思ってる」
え??今なんて言った?
私の聞き間違い?
「ごめん、私の聞き間違いかもしれない、もう一回言ってくれる?」
「俺がどんだけ緊張してると思ってんだ」
「ふぇ?聞き間違いじゃないってこと?」
恭弥は、ものすごく恥ずかしそうにしてるから、こっちまで恥ずかしくなってきた。
「恭弥の隣にいてもいいの?」
「いてくれないと俺が困る、だからこれ、貰ってくれないか」
そう言って差し出したのは、制服のボタン。
ボタンをつけていない場所は、第2ボタンのところだけ。
「ほんとに私でいいの?」
もらえるなんて思ってもなかった。
付き合えるなんて、考えてもなかった。
「咲華は、俺じゃ嫌?」
ずるいよ、その聞き方。
「ううん、嫌じゃない、私も好きだった、ずっと恭弥のこと、好きだったよ」
でも嬉しい、両思いなれたことが。
「それは知らなかった」
「だって、バレないように徹底してたから、それに、女の子に囲まれてばかりいて、最近話せてなかったし」
ヤキモチ焼いてたのはナイショ。
「でもずっと好きでいてくれたんだ?俺も、ずっと好きだった」
「全く気づかなかった、お互い、好きだったんだね。両思い、なっちゃった」
「何その悪いみたいな言い方すんの」
「夢みたいだから、私の初恋、叶っちゃった」
嬉しい、大好き。抑えてた思いが溢れ出てくる。
「俺も。もっと早くに伝えてたら良かったかも、時間掛かりすぎたな」
「それでも、つたえてくれたことが、すっっっごくうれしい。ありがとね恭弥」
桜は満開にはならなかったけど、わたしたちの恋は結ばれた。
もらえると思ってなかった、第2ボタン。
恭弥の大事な人に、私なれたよ。
春から違う高校だけど、初恋で結ばれた私達の恋なら大丈夫だよねっ。
春から私たちは高校生になった。
暗かった私の性格は、ちょっとだけ変化がありました。
大好きな恭弥のおかげで、毎日夜に電話をするようになって、今日あったこととか、話したり、好きだよって伝え合ったりなんかしちゃって。
ずっと続くかわからないし、なんて言ったら、俺が離したくないなんて言われちゃったので、しばらくは自分に自信がついたので、胸を張れそうです。
恭弥は、新しい高校生活でもモテてるようですが、彼女いるからと断っているみたいです。
その彼女になれた私は、すごくすごく、しあわせものですね。
みんなは、好きな子に、第2ボタンもらえたかな?渡せたかな?
彩奈は、無事もらえたみたい。二人で喜んだよ。
またみんなの話が聞きたいな。
みんなが幸せな気分に慣れますように!
お裾分け!