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「事故にあった日が近付いてきたからなのか、最近の大雅は余計に機嫌が悪くてピリピリしてるんだ。だから芽衣がまた傷つくことになるかも」


「わたしのことなら大丈夫。もう慣れたよ」


「……慣れちゃいけねぇだろ」


「ふふっ、そうだよね」


「芽衣は、苦しくなったりしねぇの?」


「……なるよ。だけど、もっと苦しんでるのは大雅だから」


「……」



透くんが頬杖をついたまま、こちらを見つめてくる。


それに笑みを返すと、透くんは「本当、なんでこんなに想ってくれてる人を忘れちゃうかな、あいつ」と困ったようにこぼした。



「大雅は繊細だから」


「ガラじゃないけどね」


「ふふ、誰よりも大雅の性格わかってるくせに」


「まぁね。親友ですから」


「うん。羨ましいよ」


「……」


「うらやましい」



そんなことを言ったって、透くんが困るだけなのに。


一度呟いた言葉は、何度もため息として外に出た。