鳥が舞い降りる。背に載っていたのは一人が若い金髪の男性で、もう一人は貫録のある老齢の男性だった。
「風を消してくれたのは彼ですよ」
老人を見て雷刀が言う。
「師匠!」
風磨が老人に向かって叫ぶ。
老人は鳥から降りるとつかつかと風磨に歩み寄り、ぱこーん! と頭を殴った。
「いてえ!」
「家で大人しく待っておれと言ったろうが!」
「だって、師匠があやかしの国に攻め入るって聞いて、俺も……」
「親善使節の先遣として行くと説明したろうが!」
老人は怒鳴り、それから地面に膝をつき、雷刀にがばっと頭を下げた。
「不肖の弟子が、申し訳ございません!」
「師匠、こんなやつらに!」
「瑞穂之国と日本は友好関係だと何度言ったらわかるんだ!」
老人はまた風磨の頭をはたいた。
静穂は目をぱちくりさせて雷刀を見た。
「これは、何が……」
「彼を止められる人を呼んだのですよ」
どうして雷刀がそんな人を呼ぶことができたのだろう。
だが、これで二人は……というより、風磨は戦いをやめてくれそうだ。
「お前、もう少しどうにかならなかったのか。荒れ果ててるじゃないか」
デンカの声がした。
振り向くと、凛々しい青年がいた。長い黄金の髪を垂らし、黄金の瞳をしている。狩衣を着ていて、まるで平安貴族だ。
デンカはどこに、と戸惑う静穂にかまわず、雷刀が答える。
「そこそこ力があるようでしたからね。傷つけずに取り押さえるのは簡単ではないのですよ」
「なにがどうなってるの?」
「こちらのご老人は彼の師匠で宇陀沖重さん、日本からの親善使節団の一人でいらっしゃいます」
雷刀が説明する。
そういえば、と静穂は思い出す。彼は使節団を迎える準備で忙しいと言っていた。
「技に恥ずかしい名をつけた弟子がいる、と彼が愚痴っていたのを覚えてましてね」
「詩洲殿、こいつは私が反省させて修行をつけ直します」
「風を消してくれたのは彼ですよ」
老人を見て雷刀が言う。
「師匠!」
風磨が老人に向かって叫ぶ。
老人は鳥から降りるとつかつかと風磨に歩み寄り、ぱこーん! と頭を殴った。
「いてえ!」
「家で大人しく待っておれと言ったろうが!」
「だって、師匠があやかしの国に攻め入るって聞いて、俺も……」
「親善使節の先遣として行くと説明したろうが!」
老人は怒鳴り、それから地面に膝をつき、雷刀にがばっと頭を下げた。
「不肖の弟子が、申し訳ございません!」
「師匠、こんなやつらに!」
「瑞穂之国と日本は友好関係だと何度言ったらわかるんだ!」
老人はまた風磨の頭をはたいた。
静穂は目をぱちくりさせて雷刀を見た。
「これは、何が……」
「彼を止められる人を呼んだのですよ」
どうして雷刀がそんな人を呼ぶことができたのだろう。
だが、これで二人は……というより、風磨は戦いをやめてくれそうだ。
「お前、もう少しどうにかならなかったのか。荒れ果ててるじゃないか」
デンカの声がした。
振り向くと、凛々しい青年がいた。長い黄金の髪を垂らし、黄金の瞳をしている。狩衣を着ていて、まるで平安貴族だ。
デンカはどこに、と戸惑う静穂にかまわず、雷刀が答える。
「そこそこ力があるようでしたからね。傷つけずに取り押さえるのは簡単ではないのですよ」
「なにがどうなってるの?」
「こちらのご老人は彼の師匠で宇陀沖重さん、日本からの親善使節団の一人でいらっしゃいます」
雷刀が説明する。
そういえば、と静穂は思い出す。彼は使節団を迎える準備で忙しいと言っていた。
「技に恥ずかしい名をつけた弟子がいる、と彼が愚痴っていたのを覚えてましてね」
「詩洲殿、こいつは私が反省させて修行をつけ直します」