雷刀がもう片手を振った。上空から風磨のそばに雷撃が落ちた。

「うわあ!」
「最終警告だ。彼女を返して投降しろ」
「できるか!」
 風磨が抵抗する。

 静穂はそろーっと歩き出した。

 自分がいるから風磨は戦おうとしてしまう。自分がいなければ素直に逃げてくれるのでは。

 そう思ったのに。

「逃がしませんよ」
 雷刀は雷を発生させ、静穂の四方を囲んだ。

「なにこれ!?」
 雷は静穂の知る法則に反して彼女を取り囲み、消えない。

「静穂!」
 風磨が叫んで彼女に駆け寄る。

「なんで呼び捨て?」
 静穂はドン引きした。

「すぐに出してやるからな!」
「あー、いえ、それは」
 静穂は彼の背後を見た。

 雷刀がゆっくりと歩み寄っていた。
 無表情なのに怒りに満ち満ちているのがわかる。

「早く逃げて」
「安心しろ、俺が助けるから!」
 彼が呪文を唱えると、雷の檻が消えた。直後、風磨が抱き着く。

「静穂!」
「きゃあああ!」
 静穂は悲鳴を上げた。

 真後ろから雷刀が風磨をどついた。風磨がひるんだすきに二人を引きはがす。風磨がよろけて、静穂もたたらをふんだ。

「痛えな!」
 振り返った風磨は、雷刀の冷たく鋭い眼光に気圧され、一歩を下がった。

「人の妻に手を出して、ただですむと思うなよ」
「つま!?」
 風磨は驚いて二人を見比べる。