風磨だけが決めポーズのままドヤ顔をしている。

「倒す、じゃなくて?」
 静穂がつっこむ。

「え? あれ?」

 戸惑う風磨に、雷刀はため息をつき、額に手を当てた。
「みなさん、やっちゃってください」
 雷刀の声に、あやかしが動いた。

 おお! と声を上げて一斉に風磨に飛びかかる。

「竜巻烈風拳!」
 風磨が技を繰り出す。

 竜巻がごうっと吹いて、あやかしがたじろいだ。

 静穂は目を細めてそれを見た。
 この人、最初に見たときより強くなってる?

 初めて見た竜巻はちっぽけだった。だが、次に見たとき、その次と、竜巻が大きくなっている。

 竜巻に負けずに近づくあやかしには呪文を唱えてびしっと指弾する。それだけであやかしがふっとんだ。

「よーし、調子でてきた!」
 風磨が声をあげる。

 あやかしたちが風磨に対する侮りを捨て、距離をとる。

 これ、まずいんじゃない?
 静穂は雷刀を見た。

「大口は伊達じゃないということですか。少々、いろいろとアレですが」
 雷刀の目がぎらっと光る。

 やばい、すごい怒ってそう。

「さっきは油断したけど、今度はそうはいかないからな!」
 風磨が叫ぶ。

 雷刀は無表情で手を伸ばす。手から稲妻が走った。

 風磨が手を振り上げる。

 透明な壁が発生し、稲妻を防いだ。

「その程度」
 雷刀は鼻で笑う。

 また稲妻が走り、今度はじりじりと壁を削る。
 風磨は手を伸ばして壁を補強する。