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亮太は二人の戦いを見て顔をひきつらせた。
耀斗が必死に準備をしてきたショーが台無しだ。
これだから朱雀は。
彼はぎりっと歯を食いしばって紅羽をにらんだ。
自身も変化できたなら、必ずや仕留めてやったものを。
耀斗は周囲を気遣いながら戦っているので防戦一方だ。なのに朱雀のあの女はなんの配慮もない。
思ってから、亮太は気が付いた。
朱雀の女はもう一人いた。
あいつを人質にすれば鷹をおとなしくさせることができるはずだ。
亮太は急いで駆け出した。
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黎羅は唖然として二人の戦いを見つめていた。
変化した者同士が戦うのを見るのは初めてだった。
麒麟の一族はみな穏やかで、戦うことを知らない。
「なんでこんなことに」
すがるように桜の木に寄った。そのまま力なく根元に座り込む。
黎羅はただ、愛する人を手に入れたかっただけだ。
一族の会合で見たときから好きだった。
彼はいつも優しくて、惹かれる一方だった。
結婚していると知ったのは、彼の式の直前だった。
政略結婚だと聞いていたから、自分が愛をもってねじ込めば彼の心を手に入れられると思った。
それが、こんなことになるなんて。
目の隅に動くものがあった。
そちらを見ると、亮太が抵抗する珠夏をひきずって来るところだった。