昼休み。最初は瑞希と食べようとしてたのだけど、何故だか椎名くんと明野くんが私達の席までやってきた。

 「お2人さん〜俺たちも一緒に良い?」
 「え、いいけど。どうした今日?」

 瑞希と明野くんが話してる。勝手に許可されたけどまぁいいか。いや、でも女子の視線が午前中からずっと凄い……。

 「桃もいいでしょ?」
 「え!?あ、うん。いいよ?」

 けれど瑞希に言われたらいいよって言うしかない。だって親友だもん。断れないよ。

 「ふふ。桐崎さんずっと緊張してるね」
 「え、だって2人とも女子からの人気凄いし……」
 「えーそんな事無いと思うけどなぁ」

 そう言って周りを見回す椎名くん。自覚が無いのね……。教室に残っている女子はチラチラと私達の方を見ている。私はこれに耐えられるだろうか。

 「もーも。大丈夫だって。何かあったら私が助けるから」
 「ありがとう瑞希」

 小学生の頃から瑞希は私の事を助けてくれていた。虐められていた私を助けてくれたのも瑞希。だからこそ瑞希のお願いは聞いてあげたい。

 「で、夏休み最初どこ行くか決めてるの?2人は」
 「あ、うん。まずは夏祭りかなって。7月の月末にあるやつ」
 「地元のかー。それにするか」

 すごいな、瑞希。男の子と普通に話せてる。私にはまだ無理、かな。椎名くん達だと余計緊張して話せなくなっちゃう。だってカッコイイんだもん2人。

 「桐崎さんのお弁当美味しそうだね」
 「わ、私?うん、自分で作ってるんだ」
 「そうなの?すごいね」

 わぁ……普通に話せてる、よね?今。私成長してるのかな。ふと瑞希を見ると何故かニコニコして私を見てる。後で瑞希に聞いてみようかな……?

 「桐崎さん、その卵焼き1つちょうだい?」
 「え……えぇ!?こんなのでいいの?」
 「こら。こんなのとか言わない。一生懸命作ったんでしょ?」

 椎名くんに突然そう言われ戸惑ってしまう。しかもちょっと怒られてしまった。優しい口調だったから怖くなかったけど。いいのかな、あげても……。

 「桃。あげたら?」
 「う……うん。椎名くん、1つ取っていいよ?」
 「ありがとう桐崎さん」

 瑞希に背中を押されて椎名くんにお弁当を差し出す。するとお礼を言いながら卵焼きを1つ取って口に含んだ。

 「うん。美味しいね。俺好きだなこの味付け。なんか懐かしくなる」
 「そう……?それなら良かった」

 椎名くんの一言にほっとして、私も再びお弁当を食べ始める。

 今月末の夏祭り、楽しみだな。