君の太陽になりたい
~過去から抜け出せなくても、大切な人のために明日も頑張ろう~
藤峰 咲姫香
プロローグ
どこにいても、何をしていても、いつもなぜか心から笑えないーーこんな自分のことが大嫌いだ。
毎日意味もなく生きていて、まるで操り人形みたいだと思ったあの日。
なんの感情もなくなり、生きる意味を見失ったあの日。
私に手を差しのべてくれたあの人。
そっと顔を上げると、そこには私と同じ表情をした人がいた。
『大丈夫?』
仲間を見つけたその時、やっと救われた気がした。
『大丈夫。大丈夫だよ。俺もお前と同じだから』
なんの感情もこめられていないような気がする、弱々しい声。
慣れているような口調。
たしかにそこにいるのに、すぐにいなくなってしまうような・・・・・・。
時は戻り、中学一年生の入学式の日
「心音、行くよ」
太陽にも負けないさわやかな笑顔で私を呼んだ人。
そう。
この人が私の好きな人、江波涼晴(えなみすばる)くん。
「よし!がんばろうね!」
涼晴くんと顔を見合わせた。
私はまだ見ぬ世界へ一歩踏み出した。
1,私の第二の人生?
入学式が終わって、2ヶ月が経った。
私、小戸森心音(こともりみおん)。中学1年生。
「はぁ~」
「心音どうしたの?」
朱璃が心配した表情で私の顔をのぞきこんでくる。
この子、私の一番の友達。香月朱璃(かづきじゅり)。
おしゃれな自慢の友達です!
私一日で何回ため息をついているんだろう。今ので何回目なんだろう。
悩みながらも、心配してくれていることに少し嬉しく感じてしまうしまう自分がいる。
私がなんでこんなに悩んでいるのかというと、最近涼晴くんと会えていないからなんだ・・・・・・。
私が通っている中学校、東雲中学校。通称しの中には9クラスあって、私と朱璃は6組なんだけど、涼晴くんは9組。
さらに涼晴くんはダンス部に入って朝練が忙しいみたい・・・・・・。だから朝一緒に行けてないんだ・・・・・・。
「もう大丈夫です」
やっと落ち着いてきた。
「それなら良かった」
そう言われて顔を上げるとそこには私と同い年くらいの男の子がいた。
切れ長の目。
すっと通った鼻筋。
ちょっと焼けている、健康的な肌。
「ん?・・・・・・」
そこでやっと気付いた。
私はこの男の子の顔をまじまじと見てしまったのだと。
「あぁ~。ごめん! 汗臭いよね」
はっとしたあと、急に申し訳なさそうな顔になったその子は、私からパッとはなれてしまった。
「じゃあもう外暗いから気をつけて。本当にごめんね」
「ちょっ・・・・・・」
否定しようとしたのに私が声をかける前に去っていってしまった。
足、速い・・・・・・。
すらっとのびた足で走っていく姿がかっこよくて私はしばらくぼうぜんとしていた。
1,私を助けてくれた人、私の過去の話
家に帰って自分の部屋に入ると一気にネガティブな感情におそわれた。
またやっちゃったな・・・・・・。
最近過呼吸にならなかったから 大丈夫だと思ったんだけどな。
「はぁ~」
一つも前に進めていない自分が嫌になる。
あの時は、笑えなくてあんなに苦しかったのに、隣に君がいるだけで。
少しだけ心から笑えるようになった気がした。
〈終わり〉
~過去から抜け出せなくても、大切な人のために明日も頑張ろう~
藤峰 咲姫香
プロローグ
どこにいても、何をしていても、いつもなぜか心から笑えないーーこんな自分のことが大嫌いだ。
毎日意味もなく生きていて、まるで操り人形みたいだと思ったあの日。
なんの感情もなくなり、生きる意味を見失ったあの日。
私に手を差しのべてくれたあの人。
そっと顔を上げると、そこには私と同じ表情をした人がいた。
『大丈夫?』
仲間を見つけたその時、やっと救われた気がした。
『大丈夫。大丈夫だよ。俺もお前と同じだから』
なんの感情もこめられていないような気がする、弱々しい声。
慣れているような口調。
たしかにそこにいるのに、すぐにいなくなってしまうような・・・・・・。
時は戻り、中学一年生の入学式の日
「心音、行くよ」
太陽にも負けないさわやかな笑顔で私を呼んだ人。
そう。
この人が私の好きな人、江波涼晴(えなみすばる)くん。
「よし!がんばろうね!」
涼晴くんと顔を見合わせた。
私はまだ見ぬ世界へ一歩踏み出した。
1,私の第二の人生?
入学式が終わって、2ヶ月が経った。
私、小戸森心音(こともりみおん)。中学1年生。
「はぁ~」
「心音どうしたの?」
朱璃が心配した表情で私の顔をのぞきこんでくる。
この子、私の一番の友達。香月朱璃(かづきじゅり)。
おしゃれな自慢の友達です!
私一日で何回ため息をついているんだろう。今ので何回目なんだろう。
悩みながらも、心配してくれていることに少し嬉しく感じてしまうしまう自分がいる。
私がなんでこんなに悩んでいるのかというと、最近涼晴くんと会えていないからなんだ・・・・・・。
私が通っている中学校、東雲中学校。通称しの中には9クラスあって、私と朱璃は6組なんだけど、涼晴くんは9組。
さらに涼晴くんはダンス部に入って朝練が忙しいみたい・・・・・・。だから朝一緒に行けてないんだ・・・・・・。
「もう大丈夫です」
やっと落ち着いてきた。
「それなら良かった」
そう言われて顔を上げるとそこには私と同い年くらいの男の子がいた。
切れ長の目。
すっと通った鼻筋。
ちょっと焼けている、健康的な肌。
「ん?・・・・・・」
そこでやっと気付いた。
私はこの男の子の顔をまじまじと見てしまったのだと。
「あぁ~。ごめん! 汗臭いよね」
はっとしたあと、急に申し訳なさそうな顔になったその子は、私からパッとはなれてしまった。
「じゃあもう外暗いから気をつけて。本当にごめんね」
「ちょっ・・・・・・」
否定しようとしたのに私が声をかける前に去っていってしまった。
足、速い・・・・・・。
すらっとのびた足で走っていく姿がかっこよくて私はしばらくぼうぜんとしていた。
1,私を助けてくれた人、私の過去の話
家に帰って自分の部屋に入ると一気にネガティブな感情におそわれた。
またやっちゃったな・・・・・・。
最近過呼吸にならなかったから 大丈夫だと思ったんだけどな。
「はぁ~」
一つも前に進めていない自分が嫌になる。
あの時は、笑えなくてあんなに苦しかったのに、隣に君がいるだけで。
少しだけ心から笑えるようになった気がした。
〈終わり〉