あれから一週間が経とうとしていた頃、そろそろ体が限界を迎えていた。

痛み止めなんかは意味がないくらいの痛みに俺は耐える日々を送っている。

何もすることがない退屈で痛い毎日に、そろそろ俺の心も折れかけている。

その時、ノックされることもなくドアが開いた。

そこから顔を覗かせたのは俺の親友の岩下だった。

いつもノックされずに開くけど、この午後一時という中途半端な時間で岩下がここにきたのは初めてで俺は驚いている。

「ヤッホー。久しぶりだなって言っても、四日前にも会ったけどねー」

「この時間に来るなんて珍しいじゃん。なんかあった?」

「あー…いや、何も無いけどさ、暇だったんだよね、俺。だから暇つぶしも兼ねて会いに来てやった」

さらっと目線を外す彼は何かを隠している。

昔から嘘をつくのが苦手…特に、悪い意味の方の嘘なんかはつけないし、ついてもすぐに分かるのが岩下だ。

目線は外すし、何かあると上から目線になる。いつもはスラスラ答えることも間が開く時がある。

一体何を隠しているのか……その内容は、岩下自身のことなのか叶笑のことなのか。

「ふぅん。ま、俺も暇だったからちょうど良かったわ」

「…最近の体調はどう?また少し痩せてない?」

「大丈夫大丈夫。確かに食欲がない時も増えてきたけど、ちゃんと食べてるよ」

毎回来るときに聞く俺の体調。

痩せてることは何しても隠せない。親友がついた嘘のようには隠せない。

食欲がないだけじゃなくて、少しずつ食べれる量も減ってきた。

だから運動してないのに体重は減るし、筋肉も衰えきている。

「だったら良いけど?……まだ、死なれちゃ困るから。だから、もっと生きて」

「約束はできないけど、頑張ってみるよ。心配してくれてありがとな」

そんな悲しそうな顔するなよ。

俺には嘘をつくくせに、お前ばっか俺のこと心配しているような素振りを見せてさ。

むかつくよ。悲しいよ。

それでも、いつかはその嘘が親友の口から聞けると信じて、待ってるよ。

そんなに長くは待てないけど、まだ俺は生きているから。

「今日は、一個だけ陽斗に確認しておきたいことがあったからこの時間に来たんだ。暇だったのが全部の理由じゃない」

真剣な顔で俺の目を見て訴えてくる彼は、何を考えているのか分からない。