次はそんな謎だらけの亡霊の番だ。
「私は人間だったことがある」
今思ったけれど、先行とか無くないか?全部俺からの質問でよかった気がする。
まぁ、提案したのは俺自身なんだけど。
「本当。これは感だけどね」
「一応正解です。あ、ですが、人間だった頃の記憶はありません」
正解なんかーい。人間だったのに、今では叶笑の亡霊とか、この世界はどうなってるんだ。
「今思いましたが、私が話題提示をする必要は無いですね。ということで、あなたの番です」
うん。結構癖ありの亡霊さんだ。話が早いっちゃ話が早いけど。それは助かるけど。
それにしても、俺のことなら何でも知っているのだろうか。
叶笑との秘密も、全部知っているのだろうか。
「…俺は自分を偽っている」
「本当のことです。……叶笑様との大切な思い出ですよね」
やっぱり知っているのか。そりゃあそうか。なんて言ったって叶笑の亡霊、なんだから。
「あんたのこと信用するよ。それで、俺の願いを叶えてよ。俺と叶笑が、君たちが笑って終われるような結末にしてよ」
叶笑って、本当に良い名前だと思う。彼女にぴったりで、大切にしたい特別な名前。
俺の愛しの彼女が死ぬなんて信じられない。
普通なら、小説とかだったら、大切な女の子を守るために男が死ぬんだろ?
こんなの、あんまりだ。自分が惨めでかっこ悪くなるだけだろ。
「私たちも笑顔で…あなたは不思議な人ですね。だから叶笑様はあなたに惹かれたんでしょうね」
不思議な人って亡霊さんに言われても説得力は無い。
「分かりました。では、最終的に導き出した答えを今からお伝えします」
覚悟を決めて、この人の話に耳を傾ける。
その口から出てきた言葉に、俺はとても清々しい気持ちになった。
やっとで、叶笑に恩返しができる気がして、俺は亡霊さんに向かって微笑みかけた。