「…ご覧になられましたか?」

急に後ろから聞き覚えのある声が聞こえて、勢いよく振り返った。…そこにいたのは、なぜか陽斗だった。

「え、は、陽斗?なんでここに?」

服装はよく、アニメとかで執事の人がするような格好だった。この格好もよく似合ってるなぁ、と思った。

いやいやいや、でも、なんで?

「私は陽斗様の、死ぬ前の亡霊、と言ったところです。陽斗様の死の真相、気になりますか?」

し、真相?え、陽斗は病気で死んでしまうんじゃないの?

「し、知りたいです…」

「了解しました。では、まずはこれを見てください」

そこで私が見せられたのは、陽斗が願っている姿だった。必死に、何かを願っている。

「音声を入れてみますね」

……私が耳にしたのは、私のために願っている陽斗の声だった。私に代わって、俺が死ぬ、と言っている。

何度も何度も、どんな日だって願っている。

「申し上げにくいのですが、陽斗様は、あなた様のために死ぬのです」

言葉にできなかった。今のこの気持ちは、誰にもわかってはくれないだろう。

陽斗を失ってしまう悲しみ、私のためなんかに死ぬと言ったことへの怒り、そして気づけなかった私自身への怒りと後悔。

自分の命よりも大切な人が死んでしまうんだ。私は何のために生きないといけないの?

陽斗が居なくなった世界で、私はちゃんと息を吸って生きていけないよっ。

「……実は、結構前に陽斗様がここへ、来たことがありました」

「…え?」

そこで聞かされた陽斗の私への強い想いに、私は涙が絶えなかった。

私なんかのために、命をかけてバカみたい……大好きだよ。