やばい。涙が止まらない……
こんなの、耐えられないよ!私がいつか死ぬかもしれないって思って、スノードームの材料まで買ってきてくれた。
無事に完成はしたけど、でも、きっと、陽斗はその頃から脳腫瘍に悩まされていたはず。
今に限って、走馬灯のようにたくさんの思い出が溢れてきた。
あの、最初に打ち解けあった秘密の内容と思われることも、思い出すことができた。
たくさんの幸せをくれた彼が、死んじゃうなんて、私、これからどう生きていけばいいのっ?
「ねぇ、本当に死んじゃうの?嫌だよ……生きてよっ」
涙でぐしゃぐしゃな私の顔は、とても醜いだろう。可愛くなんてないだろう。
だけど、そんなこと、気にする余裕なんてなかった。
「……ほら。俺は、叶笑のことを泣かせるような男なんだよ。生きる資格、ないよ?」
「ばかっ!!私にとっては、生きてくれるだけでいいよ…そばにいてほしいよっ」
嗚咽を漏らす私を、優しい目で見守ってくれている陽斗は、やっぱり私の自慢の彼氏だ。
大切な存在なんだ。だから、どうしても死んでほしくない。
「叶笑、俺と約束しよう?……俺が死んでも、俺を忘れてしまっても、俺が死んだ日だけは、なんとなくでいいから覚えておいて?」
そんなの無茶だよ……いつ、私と彼の記憶がなくなってしまうのかわからないのに、約束なんて……
「大丈夫、日付だけメモってくれていればそれでいいよ。夢に、俺が出てくると思うから」
そんな会話を終えた私は、ゆっくりと家まで歩いていた。
なんで、なんで陽斗までが死ななくちゃいけないの?死ぬのなら、私だけでいいのに……
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夢を見た。そこには、綺麗な湖があった。だけど、それ以外は真っ白な空間だった。
「ここは、どこなの?」
歩いても歩いても波一つたつことのない湖を、それでも彷徨い続けた。
少し歩いたら、水晶のようなものが浮かんでいるのが見えた。私はそれに、少しずつ近づく。
「っ!」
覗き込んで見えたのは、私が大好きな陽斗と美月と岩下さんと家族だった。
しかも、それは私が死んだ後の世界だった。私だけが、そこにはいない。
でも、余命宣告的には陽斗が先に、この世からいなくなるはずなのに。